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なんとなく恥ずかしくてやぶさんを直視できないので目の前にある半分ほど中身が減ったマグカップを見る
なんで別れたんですか？
下世話な疑問が浮かんできた
さすがにこれは聞いちゃいけないよね
チラリとやぶさんの様子を窺うとまだこっちを見ている
ひかる、
って呼んでほしいな
あの声で、もう一度だけでもいいから
そんなお願できるはずもなく言葉を飲み込んだ
「コーヒーお持ちしました。」
店員さんの明るい声で気まずい時間が一時中断される
やぶさんは一口コーヒーを啜りさっきまでの砕けた表情を少し堅くした
「２、３個質問しても良いかな？」
やぶさんの声にも少し緊張の色が見える
その様子で何か大そうなことを聞かれるのかと不安だが一応頷いた
「まず、あの曲知ってるの？」
「あの曲、」
きっとあの曲とはあれのことだ
あの曲名も歌詞もないあの曲のこと
あの雨の日にやぶさんが鼻歌で歌っていた
あの曲のこと
「知ってます。」
俺の答えを聞いたやぶさんはどこか嬉しそうな顔をした
「じゃあ、もうひとつ質問ね。あの曲のことどこで知ったの？」
どこで、
どこで知ったかと言われても気づいたら知っていたのだから詳しいことはなんにも知らない
いつ頃から歌っていたかと記憶を辿るが小学校低学年くらいまでのことしか思い出せない
「覚えてないです。いつの間にか知ってました。」
「そっか。」
先程の嬉しそうな表情から一転して悲しそうな顔をする
なんでそんな顔するの？
俺があの曲についてなにも知らないから？
期待はずれだったのかな？
やぶさんは何か知っているのだろうか
「もう帰る？」
空っぽになった俺のマグカップに目をやりながらやぶさんが聞いてくる
あの曲についての話はあれ以上出てこなくて仕事についてとかいのちゃん達のことについて少しお喋りした
店内の壁に掛かっている時計に目をやるといのちゃんが帰ってから30分とちょっと
本当はもう少し居たいけど引き留めるのもアレだし
やぶさん忙しいだろうし
「帰りましょう。」
荷物をまとめ、伝票を持って席を立った
せっかくいのちゃんが作ってくれたであろうこの機会をあまり生かすことはできなかったな
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名無し84745号(プロフ) - まやさん» コメントありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです。 (2018年10月5日 20時) (
レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - はじめまして。高木くんの別れ際の優しさと2人の交わす会話に切なくなりました。運命的なひかるくんとの出会いも、これからどうなっていくのか楽しみです！ (2018年10月4日 23時) (レス) id: 66cf309f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し84745号 | 作成日時：2018年9月24日 16時
