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「こんなむさ苦しい男と二人で相合い傘なんてすみません。」
「いえ、こちらこそ入れてくれてありがとうございます。」
ふと冷静になってみると知らない男と二人で傘に入っていることに恥ずかしさを覚える
5分ほど歩いたら駅に着くとは言え気まずい
キチッとスーツを着こなす彼の年齢は俺と同じくらいだろうが音楽の道をまだ諦めきれずにフラフラとしている俺とは正反対にその人は真っ当に生きていそうで住む世界が違うなと思う
ここは世間話でもした方が良いのかと思って俺が知ってる最近のニュースはないものかと考えてみるが特に何も思い浮かばない
日本の外交問題はどうのこうのだとか難しすぎるし、行方不明なっていた人が見つかった話をしてもだから何って感じだし
その時、雨の音に紛れて微かにあのメロディが聞こえてきた
初めて自分が奏でた以外の音でそのメロディを聞いた
どこから？
どこから聞こえてくる？
ざあざあと激しい雨の音の中、耳をすませて音を辿る
音の行き着く先は隣にいる彼にたどり着いた
雨をものともせず機嫌良さそうに鼻歌を歌っている
俺以外の人が歌っているのを見たことがないあのメロディを彼は小さな音ではあるが迷いなく確かに奏でている
俺が鼻歌で歌う時よりも少し低めのトーン
「その曲、」
「あ、これですか？」
彼がこちらを向いて喋ると当然流れていたメロディは止まった
この人は何かを知っているのかもしれない
このメロディが何の曲なのか知っているのかもしれない
そう思うとわくわくすると同時になぜか心臓がドキドキし始めた
「この曲いいですよね。歌詞も曲名もなくて、とっても短い曲なんですけど忘れられないんですよ。」
何かを思い出すかのように彼は目を細め懐かしいなと呟いた
やっぱり歌詞も曲名も無いんだ
しかも、俺が知ってる部分がこの曲の全てってこと？
彼も俺が知っている部分しか歌っていなかった
この人はどこでこの曲を知ったのだろうか
俺は何でこの曲を知っているのだろうか
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名無し84745号(プロフ) - まやさん» コメントありがとうございます。これからも楽しんでいただけると幸いです。 (2018年10月5日 20時) (
レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - はじめまして。高木くんの別れ際の優しさと2人の交わす会話に切なくなりました。運命的なひかるくんとの出会いも、これからどうなっていくのか楽しみです！ (2018年10月4日 23時) (レス) id: 66cf309f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し84745号 | 作成日時：2018年9月24日 16時
