ドンへ ページ10
初めは緊張してなかなか内容が入ってこなかった。
でも、時間が経つにつれてのめり込んでしまう。
無意識にクスクスと笑うようになって…
…まだ、笑えるんだって…実感した
DH「どう？面白かった？」
「あ…はい、面白かったです」
2時間あっという間に過ぎてしまった。
窓には…少しだけ朝日が昇っていた…
DH「良かった…」
またニコッと笑う彼。
DH「じゃあ、いい夢みれるね」
彼は眉を下げて、優しい表情で私をみた。
表情がすごく豊かな人…
それに…やっぱり…私のために…
DH「名前、なんて言うの？」
「…え？」
DH「俺はドンへ。あ、君を連れてきたのがヒョクチェ。」
「ドンへ…さん」
DH「……君、俺たちのこと知らない？」
「っ…へ？」
DH「まぁいいや。で、名前は？」
「……ぁ……A…です」
DH「A…」
「あ…私…日本人で…その…」
DH「じゃあAって呼ぶね？」
なかなかマイペースなドンへさん。
ニコッと笑ってよろしくね…と手を差し出した。
彼のペースに飲まれながらも、恐る恐る手を伸ばして温かい彼の手に触れる…
「……」
DH「…怖い？」
「っえ？」
DH「……俺らのこと」
「い、いや…そんなこと」
DH「……」
「あ、明日…私…あの…ちゃんと出て行きますから…」
DH「いーよ。ここに居て」
「っへ？」
DH「何か…帰れない理由…あるんでしょ？」
チラ…と、彼の目線が私の腕に移る
私はパッと痣をおさえた。
明るくなるたびに…痛々しい傷跡が目立ち出す…
DH「最初は怪しいヤツだなって思ったけど、一緒に映画観てくれたし、笑うところも一緒だったしね！
ヒョク以外初めてだったから。嬉しかったんだ」
ーえ…そんな理由で？
「ぁ、ありがとうございます…でも…色々と迷惑かけるかも…
DH「てか眠いよね？ごめんねこんな朝まで…」
「……」
ーーこの人…ほんとマイペースすぎないか…
DH「付き合ってくれてありがとう。ゆっくり休むんだよ」
「あ…はい…ありがとうございます」
おやすみ！と、彼は自室に戻っていった。
……正直…韓国にきて、こんなに笑って色々話してくれる人、初めて。
今まで閉鎖された空間に居たから…
久々に…人の優しさに触れた気がした…
少しだけ、ぽっかり空いたあなが…埋まっていく気がした…
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作者名：yu | 作成日時：2019年2月23日 21時
