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そしてある日、彼は…夢に敗れた…
上司を殴り、会社をクビになってしまった。
その日から、ますます彼は私への当たりは強くなって、自由をも奪われていく…
仕事も辞めさせられ、家に閉じ込められた。
24時間…彼の目から離れてはいけない
私は…彼の癒しの存在ではなくなってしまった
ただの…おもちゃにしか過ぎない…
マサの裏側を知ってしまった日から…
私は彼の機嫌を損ねないように気を遣う日々を送っていた。
彼を怒らせないように必死で笑顔をつくり
操られるマリオネットのように
感情を失ってしまった私…
悲しくても、逃げたくても…笑っていた
「A」
ある日、キッチンで料理をしていると、マサが急に私の名前を呼んだ。
「……はぃ」
力なく返事をすると、
私の腕を掴み、リビングに連れていく…
ただ、彼の欲を満たすために…むちゃくちゃにされていく…
そこには愛なんてなくて…
ただ…乱暴されているだけ…
必死に…我慢した
抵抗したり…涙を流すと…
マサは拳を上げて私を殴るから…
苦痛に必死に耐えていた
身も心も…ぼろぼろだった…
マサは満足すると、直ぐに私から離れて、そのままベッドで眠る…
私は…床に転がった…ただの人形…
雨の音だけが、私の脳内に響く
「……」
私は…こんな事をされるために…ここに来たの？
このままじゃ…殺される…
A……
逃げなきゃ…
「……逃げ…なきゃ」
久しぶりに…人間らしく、感情を持った気がした…
アザが残る体をゆっくり…起こして
力を振り絞って…玄関に向かう
彼に…見つからないように…
彼に…気づかれないように…
私は……生きなきゃ…
こんな場所に…いつまでも居てちゃダメ
…A…
早く…逃げて…
私は、覚醒したかのように、出口に向かって走り出した。
何も手にせず…この身体だけが…助かればいい。
ひたすら雨の中を走って、彼が追いかけてくるかもしれない…そんな恐怖の中で頭がおかしくなりそうだった。
それでも…私は必死に逃げた。
傘もささずに…ただ無心で走り続けた
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作者名：yu | 作成日時：2019年2月23日 21時
