喧嘩 ページ16
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あれからAが出て行って数週間経った。
彼女からはなんの連絡もないまま…
ヒョクが彼女を連れてきたときはその姿にビックリしてらなんて余計なことするバカなんだろうって思った。
体の至るところに痣があるし、腕も体もやせ細って…髪もボサボサ…。
こんな奴を家に入れるのは正直嫌だった。
でも、夜中にシン…としたリビングで彼女の苦しそうな悲鳴が聞こえたとき…
悲痛な声が耳にはりついて、胸が痛かった。
何か、俺にできることはないかなって、自然にそう思えたんだ。
DH「A、どうしてるかな」
仕事の合間の車移動。
ふと、窓の外をみながら口にした。
EH「……なんだよ急に」
DH「…だいぶ経ってるし、ちょっと気になって」
EH「……」
DH「なんで…頼ってくれなかったんだろ」
EH「…Aは、俺たちの立場を考えて自ら身を引いたんだ」
DH「でも本当は助けてほしかったんだろ？じゃなき
ゃ他人の俺たちに悲惨な過去を話すはずない」
EH「……俺らを巻き込みたくないんだ。あそこで無理矢理引き留めてたら、きっとAはもっと酷い仕打ちにあう。」
DH「じゃあ、Aの行動は正解だったの？酷い事されるのは変わらないのに！」
EH「俺だって助けたいよ！でも…無理矢理Aの意見を無視するわけにはいかないだろ？正解なんてないんだよ！俺に当たるな！」
DH「……っ…」
…シン…と静まり返る車内…
ヒョクは、少し間を空けて、ごめん…と言った。
DH「……ううん。俺も言いすぎた…ごめん」
きっと、俺だけじゃない。
ヒョクも、Aも…必死に考えてるんだ
EH「Aは…」
DH「…？」
EH「……何処にいるんだろうな…」
DH「……」
EH「…また同じ事されてなきゃいいけど」
DH「……うん」
何かしてあげたいのに、何もできない…下手に動けない…
彼女を助け出す方法がたくさんあるのに、自分の立場が邪魔して…何も行動できない。
そんな自分が嫌だった
今も苦しい思いをしてるかもしれないのに…
こんな話をしたところで…なにも変わらないんだ
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作者名：yu | 作成日時：2019年2月23日 21時
