泡を吐き出し、そして謳え【柊一颯】

・ ページ13

トイレから出て、美術室に戻ろうとした時に


｢ねぇ｣


不機嫌を極めている諏訪軍団と遭遇してしまった


『なんでしょうか』


｢答え教えてよ｣


『なんでですか』


｢正解しないと私らの中の誰かが死ぬんだよ！？｣


いきなり怒鳴るんじゃないよ


『言いませんよ』


｢は！？｣


『澪奈を追い詰めた原因のひとつのあんた達に言うわけないじゃん』


怒りに顔を歪める彼女達を見て、失敗した、と思った


案の定、諏訪さんに平手打ちをくらわされ、水越さんに胸ぐらを掴まれる


｢ぶっきーのお気に入りか何か知らないけど、生意気な口聞かないでよ｣


何様なんだ


調子に乗らない方がいいことをまだ分かってない


｢さっさと教えなさいよ｣


『……離せよ』


｢は？｣


『離せよ。汚い手で私に触るな』


そう言った途端、水越さんが小さな呻き声を上げて座り込んだ


｢涼音？どうした！？｣


慌てて水越さんの彼氏である中尾くんがしゃがみ込んだ


そっと顔を上げさせると、彼の目がこれでもかと言うほど開かれる


｢んだよこれ…｣


他の人達も戸惑っている


『もういいかな？』


皆の視線は、水越さんの頬に注がれている


白い肌に一筋の赤色


｢なんで怪我してんの…？｣


ボソリと呟いた小宮山さんの声を聞きながら、彼らのそばを離れ、美術室に戻った

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している


←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す