ヤバいですよ、藤井さん。 (ページ37)

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藤井「耳、弱いんやね」

「囁くな囁くなぁ…！」

じたばた無力に暴れる私を見て奴は心底嬉しそうにうっとりしている。

流石に身の危険を感じる。てか身の危険しかない。

誰か助け────

？？？「悪"い"子"は"い"ね"ぇ"か"ァ"…」

*／藤井「「！？」」

玄関から突然聞こえた恐ろしい声に驚いて二人揃ってガバッ、と身体を上げる。

そのまま馬乗り状態ではあるが、お互い声のした方へ視線を向け、固唾を飲みながら向かってくる足音に耳を傾ける。

ｷﾞｷﾞｷﾞｨ、とゆっくり開いたリビングのドアから現れたのはびしょ濡れで包丁を震える手で持った恐ろしい形相の智洋だった。

「と、智洋…？」

藤井「神ちゃん…？」

神山「流星…刺す！！！！！」

凄い勢いで突っ込んで来た智洋はまさに戦場を駆け回る戦士の様…やけど！このままでは藤井さんにそのまま簡単に突き刺さってしまう。

この一瞬で頭が混乱したのだろう。私は藤井さんの首に腕を回して自分の方へ急いで抱き寄せる。

藤井「もがっ…！」

神山「クソｯｯｯｯｯ！！！！！」

目がギンッギンのバッキバキ状態の智洋が突き刺そうとした包丁は無事空を切ってその勢いのままソファーに突っ込んだ。

二人分の重さがあったお陰でソファーはドンッ、という衝撃が走っただけでひっくり返る事は無かった。

智洋はその衝撃のせいか軽く脳震盪っぽいものを起こしてソファーの背もたれでぐったりしている。

…い、いや、普通に殺人未遂やん…(ドン引き)

藤井「もが…もがもが…」

「あ、すみません、息出来ないですよね」

藤井「ぷはっ、いや、あの…」

「？」

藤井「その、さ…む、胸…」

「！！！！！」

何も考えずに動いた為、言われて気付いた。

抱き寄せた上に自分の胸に顔をうずめさせる…こ、これはなかなかやらかしてしまったぞ。

「た、助けるためだけ！他意は無いですからッ！」

藤井「かわいい…」

のぼせた様な表情で呑気な事を言う藤井さんから抜け出して智洋の手から包丁を奪い取り、台所へ移動させる。

そしてタオルを頭にかぶせて肩を叩く。

「智洋、大丈夫？」

神山「んぅ…あれ、A…？」

少し気を失って居たのだろう、寝惚けた様に目をぱちぱちさせる。とりあえず椅子に座るよう促すと隣に座る藤井さんを見て怒りを思い出したのか顔つきを変える。

神山「流星！！！！！」

藤井「ひっ、なに！？」

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