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???「急な出来事で悪かったな、しげは悪い奴やないからよろしくしたってな」
「はぁ…あの、誰ですか?」
ぼんやりとした真っ白な世界に突如現れた分厚い唇が印象的な茶髪の天使さん。しげが手に持っていた羽と輪っかと着ていた服装と同じ事から天使だと分かった。
そして本当にしげが天使なんだろうな、と実感した。いや、信じてはいたから、うん。
その天使さんは急に現れた気がしていつから話してたのか分からない。ていうかこれは夢なのだろうか。
中間「俺は中間 淳太。しげの仲間で大天使っていう天使の中でのお偉いさんしてる。ここは君の夢の中…みたいな場所かな。
いきなり話しかけてごめんな、夢を見てる時間は短いから手短にお話するわ。
しげは天界でぐうたらしてたから君の世界に落とされてんけど、帰れるのはしげに何か変化があったら…なんやけど…目処は無いねん。
これからしげをよろしくな。あと一つ!しげを拾ってくれてありがとう、君みたいな心が優しい子がおる場所で良かった!これから滅多に俺は話しかけられへんけど頑張って!
あ、そろそろ夜が明けるで、今日も頑張ってな」
「あ、ちょっと…」
手を伸ばす感覚がぼんやりと頭に染み付いた直後、意識がふわぁ…と上がっていく感覚が襲いかかってきた。
待って、もうちょっと話を聞かせて下さい。あなた達は本当に天使なの?しげはどんな人なの?ヒントとかないの?
そう思った時にはもう現実の世界で、自分の部屋の天井が目にうつっていた。
「…ホンマに夢の中やったんや」
夢の中なら偶然と考える方が普通かもしれない。でも何故か本当に中間さんが私に会いに来た気がする。…考え過ぎかなぁ。
そう考えていると携帯のアラームが鳴る。今が六時ピッタリだと知らせてくれる。
いつもよりも恐ろしい程目と頭が冴えている。お弁当を作るために起き上がり、自分の部屋を出てお兄ちゃんの部屋を覗いてみる。
するとそこにはやっぱり眠っているしげの姿が。昨日の事も、さっきの事も、ただの夢じゃない事が証明された。
…なんとなく、自分が嬉しいんだと感じている事が分かる。こんなの、良くないって分かるけど…しばらくしげには帰って欲しくない。そう思ってしまう。
「…アカン、そんな我儘。」
そう小さくつぶやいてキッチンに向かう。そして全て用意を済ませてしげ宛にメモを残しておく。
『昨日のシチュー温めて食べてな』
「…いってきます」
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作者名:芥川 たぅ@カツアゲの人 | 作成日時:2019年12月8日 22時