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大分歩いた。
一向に良い感じの公園が見つからず、もうすぐ夜になりそうだった。日頃上では夜になると皆寝てしまって外に出る事なんか無かった。
だから夜で外にいるのは不安でしかない。
重岡「…もういっそ使えん羽なんか切り落としてしまおう。どうせ手持ち無沙汰なんやから」
下界に来て分かった事は皆生きるのに必死でお金ってモノに縛られていて他人に目を向ける暇が無いって事だった。
天界でも下界でも爪弾きで居場所が無くて宙ぶらりん状態になってる自分が悲しくて涙があふれてくる。
ひしゃげた羽を抱えて一人そこらを歩き回る。
でももう体力の限界でふらふらしてくる。あーあ、この羽焼いたら食べれられへんかなぁ、なんて呑気に考えながら道の端っこに倒れる。
羽を失った途端、天使の力が尽きた感覚になって姿がもう丸見え状態になったのが分かる。でももうどうでもよかった。
目を閉じて意識を手放そうとした途端、誰かに話しかけられた。
「…あの、大丈夫ですか？」
重岡「…んぇ？」
────
ーあなた sideー
学校帰り、スーパーに寄っていたらついつい遅くなってしまった。急いで帰ると自宅であるマンションの前のゴミ捨て場に倒れている人がいた。
十二月の夜、こんなにも寒いのに布一枚っぽい格好をしているのを見てただ事ではないと分かった。
声をかけると今にも消えてしまいそうな声を漏らしていた。
「取り敢えず家に来ますか？このままじゃあ凍死してしまいますよ、立てますか？」
重岡「あ…ありがとう…そうさせてもらう…」
差し出した手に重ねられた手は氷の様に冷たくて吃驚する。力無くフラフラと立ち上がるその人。
暗くてよく見えてなかったけど、私より高い身長になったのを見て男性だったという事に気付く。声も高めだったから分からなかった。
エレベーターに乗り、住んでる階である四階にまであと少しの時にある物がふ、と目に入った。
ゲッソリした表情をしてる人を放っておく訳にもいかないから連れて来たものの、
手に異様な物を持ってる…
「…は、羽ですか？」
重岡「んぅ？うん…羽…」
「…コスプレ、ですか？」
重岡「ちゃうよ〜…俺天使〜…」
…酔っ払い？顔は赤くないけど酔っ払ってるのかもしれない。えっと、水飲ませばいいかな。
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作者名：芥川 たぅ@カツアゲの人 | 作成日時：2019年12月8日 22時
