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二人でのんびり歩いて辿り着いたショッピングモール。まずは服や下着を買って午前は終わった。
お昼をフードコートで済まして午後からはのんびり好きな物や気になるものを散策タイム。
重岡「A何か見たいもんあるん?」
「ん〜、ちょっと服見たい…」
重岡「ええよ、行こかぁ」
買いはしないけど何となくいつも見に行く服屋さんに足を運ぶ。割と荷物があるから連れ回すのはあまり気が気じゃないけど…
大人しく何も言わずに、むしろ興味津々なキラキラとした瞳で行き交う人や照明、お店等をキョロキョロと見回している。
荷物も一つくらい持とうか、と言っても「俺のやからええの!」と意地でも持たせてくれなかった。
そういえば家事もしっかりこなしてくれるし、今日なんか朝早くに起きてご飯を作ってくれてたみたいで余裕そうに起こしに来てくれた。
こんなしっかり者が本当にぐうたらして神様に怒られてこの世界に堕とされたのだろうか。
ふ、と目に入ったワインレッドの生地にピンク色の糸でリボン柄が刺繍された服。襟元はレースになっていてとても可愛いデザインがやけに気になる。
「わぁ、可愛い」
重岡「おぉ、ええやん!買わへんの?」
「…うん、自分のはええの。自分に買うのは流石に贅沢過ぎるよ」
重岡「なんで?俺には買ってくれたのに?」
「しげはここに来たばかりやから持ち物が一つも無いんやもん。私は…」
言葉を続けようとするとしげは持っていた荷物をその場に全部下ろして服を持ったままの私の両手を包んできた。
重岡「ええの!Aも贅沢してええの!今まで頑張ってきたのは十分分かってるから贅沢しなさい!」
「え、ちょ、しげ…」
重岡「店員さん!これください!」
そう言って店員さんに服を渡してしまった。店員さんもその場にいたお客さんも少し吃驚した感じで申し訳なかった。
恥ずかしくなってレジに行くと店員さんに「素敵な彼氏さんですね」と微笑まれた。
「かッッッ!」
重岡「んふふ、でしょお」
「し、しげ!」
店員さんの言葉と否定しないしげに変にドキドキしてしまって自分が自分じゃないみたい。
結局、素敵な洋服を買ってしまった。
店を出た時、聞き慣れた声に話しかけられた。
小瀧「あれ、Aちゃん?」
「あれ、のんちゃん!」
重岡「え?のんちゃん?」
小瀧「え?」
重岡/小瀧「「えぇえぇええええ!?」」
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作者名:芥川 たぅ@カツアゲの人 | 作成日時:2019年12月8日 22時