勿忘草 (ページ5)

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レイ「 Aー！次、移動教室だから行こ！」

高い声のレイの声は、
遠くに座っていた私まで聞こえた。

『ふっ、声大きい。』

レイ「ごめんね、A？」

近くまで駆け寄り、そう言ったレイは、
少し子供っぽい。

可愛いけど、ね。

ほとんどの生徒が、
いなくなっていることに気づき、
時間がないことに気づいた。

レイ「行こ！」

そう言いながら、
私の腕を引くレイの背中を見ながら、
田中くんがいた事を思い出した。

『あ、田中くんも一緒に行く？』

洸希「え？」

『場所、分かんないでしょ？』

洸希「いいの？俺も一緒で、」

ちらっと、隣のレイを見た。

ニコニコしながら頷いたレイを確認して、
まだ戸惑いながら、
教科書とペンケースを持つ田中くんの腕を掴んだ。

『行こ』

そう言い、腕を引いて、教室を出た。
その時、ふわっと風が私の髪をなびかせた。

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