願わない硝子の靴 �� ページ9
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動かし続けていた足を止める。
相変わらずゼロアリーナの見た目は思わず目がいってしまうほどに派手だ。だが、それよりもフェンスの前で何かを見つめている2人の方が今は目に入る。
｢あら、猫羽さんじゃないですか｣
｢A…｣
亥清が手に持っていた紙を覗き込む。
そこにはŹOOĻに対する要望が細かく綴られていた。
その箇条書きの1つを見て顔を顰めると棗さんが代わりに読み上げる。
｢フリルの衣装は嫌なんですって｣
｢…注文あるなら聞いてやるって、そう言ったんだ｣
｢猫羽さん、そんなに嫌そうな顔をして…私たちにフリルの衣装を着せる気だったんですか？｣
首を横に振って否定する。
別にフリルの衣装を作る気はさらさら無かった。ただ、それを指示されるのが嫌なだけだ。
考えてもみて欲しい。この2人ならまだしも、御堂さんや狗丸さんにフリル衣装は想像つかない。必要性があるのなら…考えるが。
｢一方的な期待や、要求や、欲望は、毒のように苦しいものですが、それすらなければ、人は通り過ぎていってしまう。私たちに望んでいる人達は、足を止めて、引き返してくれるんですね｣
亥清の視線が、俯くように可愛らしい模様の紙切れへと動く。
｢…ふん。ずっと、好きでいたいだって…オレも、たぶん…ずっと、好きでいてくれたら嬉しい。……かも……そう思えたら、嬉しいかも……｣
ひんやりとした風が優しく肌を撫でる。
身震いした体を隠すように、少し乱れていた夏用の薄いコートを着直す。腕時計の付けている左手首に目をやれば、針は7時30分を指していた。通りで肌寒いわけだ。
｢…だから、焼き鳥好きかって、先に聞いたじゃん！｣
｢あんな服に匂いの付く店初めて入った…接待に相応しい場を考えろよな｣
｢なんで、俺が接待しなきゃいけないんだよ！？｣
｢謝りたいって言ったのはお前だ！｣
遠くから聞こえていた話し声が段々と近くなる。
少し離れたこの場でも会話の内容が聞こえてくる程の音量だった。
｢おや。賑やかな人達ですね｣
｢なんだ、悠と巳波、Aじゃないか。何をしていた？｣
ちらりと棗さんが亥清を見る。
｢亥清さんがファンの女性を泣かせたんです｣
｢チクるなよ！！｣
｢泣かしたってなんでだよ！？なんか、酷いこと言ったのか！？｣
｢言ってないよ！…たぶん｣
キッと目の端を釣り上げるが、直ぐにその表情は自信ないものへとなった。
｢……ずっと、オレたちを好きでいたいって｣
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如月(プロフ) - かんざしさん» コメントありがとうございます！とんでもないほどの亀更新ですが、お付き合い頂ければ幸いです！ (2022年7月23日 9時) (
レス) id: 84c586e8ee (このIDを非表示/違反報告)
かんざし(プロフ) - いつも楽しく読んでいます。更新楽しみにしています。 (2022年4月10日 9時) (レス) @page22 id: d0a7163713 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - じんさん» コメントありがとうございます。いい作品と言ってもらえ、とても嬉しいです…！A3！も余裕が出てくれば書いてみたいと思っているので、その時は読んで頂ければ幸いです。これからもゆっくりですが、更新頑張りますのでお楽しみに…！ (2021年5月6日 22時) (レス) id: 84c586e8ee (このIDを非表示/違反報告)
じん(プロフ) - コメント失礼します。とてもいい作品だなと思いました。A3!も良いですよね〜(アイナナはゲームをしているのですが、なぜかA3!はダウンロードしても起動せず、ラノベで楽しんでます。)これからも楽しみにしています。(コメント中失礼な文があればすみません。) (2021年5月6日 22時) (レス) id: 8477ec0dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月 | 作成日時：2021年1月9日 16時
