136話 ページ38
ワタシが願うことはもうない。
あったとしても、自分で叶える。
誰かに頼むことじゃないことを、ワタシは知っているから。
「お願い事なかったとしても、折ろうよ！私 ワタシ、やりたい！」
「ちょ、わがままを言うんじゃない」
バックワードさんが止めようとする。
千羽鶴を折りたいと言っているこの子に、叶えたい願いがあるのだろうか？
もしそうならば、ワタシもそれを叶える手伝いをしたい。
「ならば、折りましょう。千羽鶴」
「え？」
バックワードさんは驚いたようにワタシを見る。
「ワタシはあの日心が弱っていたせいか、折り鶴に支配されたようになりました。今度はそんな風にならず、折り切りたいです。変な話ではありますが、ワタシは折り鶴に勝ちたいです」
もし、あの支配が『狂気』だとしたら、ワタシは勝たなければならない。
ワタシ自身が狂って仕舞えば、力の暴走を止められる人がいない。
ワタシはこの先も『狂気』に勝たなくてはならない。
大切な人の幸せを守るため、
大切な人の安全を守るため、
大切な人の人生を守るため。
これを機に戦おう。
ワタシが『ワタシ』であり続けるために。
「ワガハイも協力しよう。と言っても、あまり来れないが」
「え？アーミーまで！？」
「バックワードお兄ちゃんも手伝って！お願い」
バックワードさんに手を合わせ、願うポーズを取る。
バックワードさんはため息をつき
「分かった。オレも折るよ」
やったーと喜ぶアオイさん。
ぴょんぴょんと跳ねながら、喜ぶアオイさんはとても可愛らしく、輝いている。
ワタシには眩しすぎる。
その光にワタシも近づけたら、認めてもらえるだろうか？
そもそも、ワタシには一生近づけないかもしれない。
もしそうだとしても、努力をして近づけたらいいなぁ。
「ここから、どうするんだ」
もうすでに形が崩れている。
「少し借りてもよろしいですか？」
あ、あぁと言ってワタシに隊長の折り途中の鶴を渡してもらう。
少し手直しをして、隊長に渡す。
ワタシもその過程まで急いでおり、
「次はここをこうするのです」
と自分のを見せる形で教える。
ほう、なるほどと言って、続きを折っている。
ワタシも続きを折る。
「でも、これだとデカすぎじゃね？」
バックワードさんがワタシに言った。
最初は千羽鶴用の折り紙があるなんて知らなかったため、ワタシも普通の折り紙で折っていた。
「そうね。千羽鶴用の折り紙がいいわね」
「ならば、明日アロハが来るから、アロハに頼んでおこう」
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作者名：RESUTE | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/f8abbae6051/
作成日時：2019年10月23日 19時
