【コロイカ】最強戦士の旅行3 (ページ17)

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115話ページ17

「承知いたしました。あ、こちらもどうぞ」
ワタシは隊長にイカホを渡し、部屋を出た。
ちょっと嬉しい。
ワタシは趣味の話とかはあまりしない。
考えが幼稚なワタシは、周りと話が合わなかった。
それに、自分の趣味を押し付けたくなかった。
でも、ワタシに興味を持って、聞いてくれた。
それが嬉しい。
共感してくれたらもっと嬉しいなぁ、なんて思うけれどそれはすぎた願いね。
お風呂に入っている間、ワタシはずっと笑顔だった。
お風呂を上がって部屋に戻れば、そこに隊長の姿はなかった。
ワタシのヘッドホンとイカホもない。
おそらく、自室で聴いているのだろう。
気に入ってくれたのかな？
それだったら、嬉しいなぁ。
でも、データを取られてしまった。
今取りに行っても無駄だし、ワタシが来る前からあるデータを読もうかな？
ワタシは資料室に行く。
資料室には、これまでのデータと隊長と隊員たちが集めた本が置いてある。
机の上に、ワタシにはよく分からない本がある。
いや、分かるけど分かりたくない本。
ワタシはその本をしまおうと思うが、何処にしまえばいいか分からない。
このまま置いておくわけにも行かないので、隊長にききにいく。
ノックを3回する。
「隊長、Aです」
返事は返ってこなかった。
入りますよと声をかけ、中に入る。
隊長はワタシのヘッドホンで音楽を聴きながら、データをまとめていた。
ワタシが入ってきたことに気づいた隊長は、音楽を止めヘッドホンを外す。
「すまない、気づかなかった」
「いえ、気にしておりません。ヘッドホンで聴いているとそういうことがイヤホンより起こりやすいです。だから、ワタシは音量を下げ気味で聴くか、こうして、ヘッドホンをこのように少しずらします。ただ、ずらすとなると、隊長？どうされました？」
隊長が機械でいう『フリーズ』したようになってしまった。
いきなりいっぱい話しすぎてしまっただろうか？
「つ、続けろ」
少し整理がついたのか、隊長が顔を赤くしながらそう言った。
「承知いたしました。ずらすとなると、音漏れしやすくなるので、気をつけてください」
隊長は下を向いて、
「うむ」
と言って頷いた。
「あの、この本なんですが」
「うわぁあああ、み、見るなあああ」
そう叫んでワタシから本を取り上げた。
別に見ていないのだが。
隊長は本を隠すように背中に回している。
別に奪うつもりもないのに。
「み、見たのか？」