【コロイカ】最強戦士の旅行3 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:6,218 hit

110話ページ12

自然と忘れてしまいたい。
それでは成長できないことを知っていても、たまにそう思う。
過去のことを考えたって仕方ないでしょ、って何度も終わらせようとした。
でも、そんな簡単に終わってくれない。
ワタシにとって、抱える物が大きくなりすぎたから。
「どうした？」
考え事をしているとスカルさんが声をかけてきた。
「いえ、何も」
「オマエも食べたいか？」
そう言って、スプーンに一つすくって、ワタシに見せる。
一口からなら、いけるかも。
ワタシはそれを食べる。
ソフトクリームの味が、舌に浸透する。
アイスクリームは冷たいはずなのに、何故だろう。
温かく、そして嬉しい気持ちになる。
「ありがとう。美味しいわ」
スカルはいきなり仰ぎ始めた。
別にお店の温度は上がってないと思うのだけど。
少し進歩できた自分が嬉しい。
この調子で、『普通』に戻って行こう。
そして、胸を張って言えるようになりたい。
ワタシは彼らの『友達』だって。
でも、やはり少し不安。
前に進めたけれど、おかしくないだろうか？
その、食べ方？とか。
「ワタシ、変じゃなかったかしら？」
恐る恐る訊いてみる。
声が震える。
明るかった視界が暗くなっていく。
怖い。
「別に変じゃない」
視界が元に戻る。
その返事に安堵して、少し笑みが溢れる。
「ありがとう。良かった」
「別に礼を言われるようなことはしてない」
一瞬でまたパフェを食べる。
「そんなことないわ。スカルのその一言で、ワタシは少し救われたの。だから、ありがとうなの」
スカルはワタシのココアを取ろうとしたため、阻止する。
「パフェ譲ったのに」
「注文したら良いじゃない」
好きなものは絶対譲れない。
アロハといい、スカルといい、何故ワタシの飲み物を狙うのかしら？
あって言う間に夕方になった。
「今日は楽しかった」
「そう、なら良かった」
スカルの面倒を見る側になるかと思ったけれど、結局、おあいこくらいね。
それにあまり表情は変わってないけど、本人が楽しかったなら何よりね。
「また、今度出かける。オマエと一緒に」
少し意外だった。
あんなに仲良い人がいるのに、またワタシと出かけたいと言った彼が。
まぁ、必要とされているなら、嬉しくないはずがない。
「ワタシで良ければ、空いた日にでもね」
流石に仕事中とかは困るから。
私は帰ろうとしたけど、スカルは一向に動かない。
「どうしたの？スカル」
「家、どこだ？」
家の場所くらいは覚えておいた方がいいのでは？