水と剣3 ページ33
運の悪さに、気がついたのが三日前ということで、とても焦っていた。
アスク王国側には用事が切羽詰まっているから訓練はお休みにすると伝え、『クロム』召喚に専念した。
でも、どれだけ頑張って集めても、強めて行ける範囲を増やしても、『クロム』は召喚されない。
杖の虹色が出た時は『ピアニー』が来るかと思ったが、違う人だった。
最後の最後にポイント報酬のチケットを狙い、無理な戦いをみんなに強要した。
普通なら罵声を浴びる場だろう。
でも、私の状態を知ってか、誰も文句一つ言わずに、戦い続けてくれた。
たくさんの方法で収集した召喚石。
最後にもう一度十人召喚できるほどは集まらなかったけど、一人ずつでも召喚した。
でも、出なかった。
あと一分で、今年のチャンスが終わってしまう。
私は悲しくて、悔しくて、召喚の泉で『水』をこぼした。
もっと早く気づいていたら、もっと日頃から集めていれば。
私の前で笑う『クロム』が、私の前で壁を破壊し苦笑いする『クロム』が、私の前で剣を振るう『クロム』が、いたのかもしれない。
お願いだよ。
この『水』を、『クロム』に届けてよ。
クロムの『剣』を、『ワタシ』に届けてよ。
そう願っても、現実はそううまくは行かない。
終わってしまった。
でも、私はみんなに笑顔を見せて、
「来年目指すよ！辛い戦いをさせてしまってごめんね」
とから元気を見せてその場をさった。
ユーディル様は追いかけようとしてくれたけど、やめた。
きっと、分かったんだろう。
『クロムの代わりには誰にもなれない』と。
私はアスク王国に戻り、スタスタと早歩きでクロムを探す。
クロムはリズやフレデリクと楽しげに話していた。
私はそんなことを気にもせず、『水』を流してクロムに抱きついた。
子供のように、泣き喚く。
リズやフレデリクは何かを察してくれたようで、その場を去った。
クロムは何も分からないという顔で困り果てていた。
しかし、何か思い当たることがあったのかもしれない。
彼は私を離さないようにギュッと抱きしめ、
「すまん」
と謝った。
ごめんなさい。
貴方が悪いわけじゃないの。
この世界では『水』も『剣』も届くのに、向こうの世界では届かなかった。
届けたかったんだ。
『貴方がいないと寂しい』、その『水』。
あなたは私に届けたかった？
『大切なものを守りたい』、その剣を。
来年は、ちゃんと届けよう。
私の温かな『水』と、貴方の柔らかな『剣』。
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RESUTE(プロフ) - reimariasaizaさん» コメントありがとう。もう分かっちゃった？伝わったなら嬉しいな。 (2020年6月20日 6時) (
レス) id: 0891d09283 (このIDを非表示/違反報告)
reimariasaiza(プロフ) - 「僕は悲しい【オリジナル】」ああああなるほど泣きそう…(´;ω;｀)←は？ (2020年6月20日 0時) (レス) id: 76e319c3c7 (このIDを非表示/違反報告)
reimariasaiza(プロフ) - RESUTEさん» 承知！(*'▽') (2020年2月2日 19時) (レス) id: 24a44df526 (このIDを非表示/違反報告)
RESUTE(プロフ) - reimariasaizaさん» コメントありがとう。歌詞を見ながら書いたらそうなった。褒めてくれてとっても嬉しいよ。また別の曲も書くけど、日曜公開予定だよ。 (2020年2月2日 19時) (レス) id: 0891d09283 (このIDを非表示/違反報告)
reimariasaiza(プロフ) - 凄い…説明文のセンスありすぎ…(誉め言葉)曲聴きながら読んだけどいい曲だった！文才すごい。あと続き待ってるね(((( (2020年2月2日 19時) (レス) id: 24a44df526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RESUTE | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/f8abbae6051/
作成日時：2020年1月20日 12時
