星の集まり【短編集】

水と剣【FEH(ドラガリア)】 ページ31

私は、アスク王国『ヴァイスブレイブ』の召喚士である。
そして、アルべリア王国の第七皇子、ユーディル様専属の召喚士でもある。
二つの異世界を行き来し、軍を持ち、平和へと導く。
それが、今の私の役目。
アルべリア王国へ行こうと思った理由はただ一つ。
『自分の軍の人が、そちら側にも出るから』
それしかない。
ユーディル様が召喚士をお探しになっていると聞いた時、私は心を躍らせた。
王国内でも優しいと聞くユーディル様なら、私のお気持ちを聞いてくださるかもしれない。
そう思ったんだ。
私の勤める教会にユーディル様は訪れ、急遽面接を開くこととなった。
これに選ばれなければ、私はここに来た意味がない。
だから、一生懸命、伝えようと思った。
本当の目的、私の気持ち、自己PR。
その思いが通じたのか、私はユーディル様の専属へとしていただいた。
どんな時もお傍にいて、守っていただいた。
それなのに、彼に全く気のない私は、酷い存在だと思う。
でも、それでも私はいいと思った。
それほど、私の眼中には彼らしか目になかった。
『アルフォンス』、『マルス』。
その時はまだ『フィヨルム』、『ヴェロニカ』を仲間にしていなかったため、逢えたらいいな。
それくらいにしか思っていなかった。
アルフォンスは召喚形式ではなく、仲を深めたものだけが仲間にできる『努力性』。
努力は人一倍する私には、いとも簡単であった。
でも、もし私が『アスク王国での召喚士でもある』と伝えられたら、もっと簡単だっただろう。
でも、できなかった。
伝えてしまった後、どうなるか分からない。
裏で何を言われているか、知りたい。
でも、彼はうっすらと気づいてくれた。
それは、ユーディル様から私をアルフォンスへ紹介してくれる時。
「アルフォンス王子、こちらが俺のところで働いている専属の召喚士だよ。一応紹介しておくね」
ユーディル様その紹介の後、私は軽く頭を下げ、
「よろしくお願いいたします、アルフォンス様」
と礼儀正しく挨拶をする。
そして、アルフォンスに向けて笑顔を見せた。
彼はそんな私をじっと見ていた。
不審に思った私は、
「アルフォンス様？」
と尋ねた。
アルフォンスは我に返った顔をして、
「すまない。僕のところにも召喚士がいるんだ。その子にそっくりだったから、つい見入ってしまったよ。名前はなんていうんだい？」
と私に尋ねた。
ここで『A』と答えれば、本物と認識してしまう可能性が高い。
「私はユールでございます」

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