醒めない夢の中であなたと。 (ページ8)

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8話お互い。ページ8

「お、お前…。」

差し出された手をまじまじと見る。
心臓がバクバクしてる。多分和也も寿も。

「あ、信じられないですかね。私って。」

ひょうひょうとする彼女はバックから何かをゴソゴソと出し始めた。

「ほらっ！！」

嬉しそうにback numberと書かれた【夏休みの図書館のお知らせ】の紙を突き出した。

…しわくちゃになってるし。

あ、ちょっとだけ重なる前の彼女の面影。
本当に、本当にこの日がきたのかなんて実感してしまう。

「よ、よく頑張ったな。」

ぽかんとする俺を尻目に、和也は感激したようにワシャワシャと頭を撫でていた。

「わー髪の毛がー」なんて言いながら笑う。

「私の名前、七瀬Aって言うんですよ。お前じゃないですからね。」

指を左右に振りながら自慢顔の彼女。

前と似た面影があるが、大人びた整った顔やスーツという格好に制服姿のあの時とはまったく別物にみえる。
(性格は変わってないけど)

「また.....また会えましたね。ねぇ、あなた達の名前はなんて言うんですか？」

さっきよりも嬉しそうな顔で問いかけられる。

きらきらの瞳に捕えられたようだ。

「俺はボーカルの清水依与吏。」咄嗟にでていた。

「俺はベースの小島和也で～す。」

「俺はドラムの栗原寿。この中で1番歳が近いから。って言っても2人と歳の差あんまりないけどね。」

(｢若いアピールするな。｣と心中でつっこんだ。)

「初めて本人達の口から自己紹介してくれましたね。」

とまた手を差し出された。

今度はちゃんと握り返した。
なんか柔ら…いや、きもいきもい自分。

「まじ、この日がきたんだね。ちょっとびっくりしてる。」

「私も。心臓バクバクしてます。」

意外な一言。

「ここでに記念撮影でも撮っとく？」

「いーじゃんいーじゃん。」

「わ、ﾜｶﾘﾏｼﾀ…。」

いつの間にか隣にいた強ばった表情の彼女。

「なに？今更緊張してんの？」

「は、い。写真とかあんまり撮らないから…。」

「なるほどね。ふーん。まぁとりあえず緊張せずにリラーックス。」

「ふふふ。なんですかリラーックスって。」

緊張が解けていた彼女はふふふと笑う。

知らない間に大きく成長したその姿に少しだけ頼もしいなんて思った。

でもちょっと子供っぽさは抜けてないけどね。