6話 また未来で。 ページ6
「あの、聞いた後になんなんですが、これ私なんかに言っていい話しなんですか？」
「だめだった？」
「その、有名になったりしたら私に悪用されるとか思わないんですか？まぁさらさらそんな気はないんですけど。」
「あ〜有名になるね。なりたいけど、そこまで意欲はないかな。」
笑いながら困ったと頭をぼりぼりかくベースの彼。
「なんか、勿体ないですね。たくさんの人に聴いて欲しいくらい良い歌なのに。」
「君、さらっと恥ずかしいこと言うね。」
ボーカルの彼が真顔で私を見る。
「そうですか？」
「こんなにべた褒めするならマネージャーくらいになってくれればな〜。」
｢は！｣｢それだ！｣
3人が顔を見合わせて名案みたいな顔をする。
そ、そんな顔でこっち見ないでくだいよ。
「う、嘘でしょ？私高校生ですよ？」
「わかってるって。だって顔がまだまだお子ちゃまですもんね〜。」
高校生ってわかったのは私の顔？
制服きてるんだからそこでしょ！
からかわれたって気づいてかぁっと顔が熱くなる。
みよーんと私の顔を伸ばすボーカルの彼をキッと睨む。
私この時なんか衝動的に言ってたんだ。
「じゃあマネージャーやります。あと少し待てるなら。」
3人の顔が驚きになって、
でもすぐに意地悪な笑みへと変わった。
「まぁ、この子に未来委ねるってのもあり。」
「待っててやるよ。だから、早く大人になってね〜。」
「本当に後悔しませんか？」
ちょっと不安になって隣のドラムの彼に言う。
「しない。多分…ね。」
苦笑するドラムさん。
遠い目してるし。
なんだろう。この人達のためなら不思議になんでもできるような気がした。
「望むことろです。私がマネージャーになったら一気に有名にしてあげますよ。」
「自信満々だな〜。」
「ちょっとこの約束現実になる気がしてきました。」
「ならないと俺ら困る。」
「じゃあ、また会ったときわかるようにバンド名ここに書いてください。」
私が取り出したのは、紙。
「え、これ 【夏休みの図書館のお知らせ】って書いてあるけど。」
「裏でいいですよ。」
「絶対忘れるじゃん。」
「いいじゃないですか。」
そのちょうど良いタイミングで、携帯の音が鳴った。凪ちゃんから。
「ごめんなさい。もう戻らなきゃ。じゃまた。」
こうして、私達は味気ない別れ方で一生の分岐点となる出会いを果たした。
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作者名：あられ☆彡。 | 作成日時：2017年8月6日 11時
