2話 出会う。 ページ2
ライブ会場へ急ぐ私の足を止めたのは、3人の男の人。
もうすぐ、人気のライブが始まる会場の近くでやるなんて…。
そこにはやっぱり誰1人聴く人もいない。
だけど、自然に私の足は止まっていて。
耳に残る甘い声が風に乗っていく。
心地よいベース音と小刻みな優しいドラムの音がマッチしている。
なんと言っても歌詞を切なげに歌うボーカルから目が離せない。
途端に私の手足が少し震えだした。
手には力が入ってしまう。
(あ…すごく、すごくいい歌。)
私はこの時完全にもうこのバンドの虜になっていたんだと思う。
どんどん侵食されていく心と体。
ぐわっと胸が熱くなる瞬間。
(もっと聞いてみたい…。)
足が自然にそっちに向いた時…
「Aっ!!」
凪ちゃんの声で我に返った。
すこし名残惜しい気持ちを抑えて、また私は反対の方へと走り出した。
「もう！早くしないと始まっちゃう。」
「ごめんごめん。」
「このライブとっても人気なんだから、ちゃんと満喫しなきゃ。最前列取ったしね！」
そう言って意気込む凪ちゃんを見てクスリと笑が零れた。
「そうなの？ふふっ楽しみだね。」
それから会場についた私達はタオルを買ってから、入っていった。
たくさんの人がわいわいとする中誰もが今始まろうとするライブに心弾ませていた。
でも、私はその中でもあの3人のことを考えていた。
(また聴きたいな。)
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作者名：あられ☆彡。 | 作成日時：2017年8月6日 11時
