助け舟 ページ10
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土曜日。
全く寝付けず、朝を迎えた。
｢はぁ…｣
ベッドの中で何度したか分からないため息。
やっぱり、いくら考えても分からない。
｢…なんなの、｣
櫻井のことも、自分も分からない。
あぁ、もう！！
考えるのやめよう。
櫻井なんか、きっと月曜に会社で顔を合わせても
何も無かったみたいに接してくる。
私だけこんなに思い悩むのは悔しい。
スマホを手に取って、
LINEのトーク履歴をスクロールする。
目当てのアカウントに通話をかけた。
暫くの軽快な呼び出し音の後、
『はい』
ハスキーボイスが聞こえた。
｢もしもし？おはよ｣
『おはよ、てか朝早すぎ。なに？』
｢凜、今日暇？｣
幼馴染の凜。
クールビューティな凜は、いつだって彼氏が絶えない。
凜に会って話を聞いてもらって、
このループとストレスから抜けよう。
そう思って連絡した。
『暇だけど』
｢会わない？てか、会って｣
『分かった。そっちに行くわ』
｢了解｣
通話を切って、ある程度部屋を掃除して。
洗濯物を回して、適当にお昼を済ませた頃
部屋のインターフォンが鳴った。
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｢おじゃましまーす｣
｢どうぞ｣
凜はすっぴんなのに綺麗。
女の私が見とれるほど綺麗。
｢で、何かあったわけ？｣
｢うん、まぁお茶でも出すから｣
｢気遣わないでよ、気持ち悪い｣
なのに、口は悪い。
あれこれ昨日あったことを全て凜に話す。
櫻井と二人きりで飲みに行ったこと、
櫻井に女扱いされたこと、頭を撫でられたこと、
鈍感だと言われたこと、
家まで送ってもらってキスされたこと、
そして、謝られたこと。
｢黒じゃん？｣
｢え？｣
凜は、私の話を黙って聞いて
話し終わって第一声がそれだった。
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作者名：湊 | 作成日時：2018年7月18日 0時
