イケメン ページ5
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今日の仕事を終えて、パソコンの電源を落とす。
隣を見たら、櫻井はまだ何か打ち込んでて
｢まだ終わらない？｣
｢あと数分｣
｢分かった、ロビーで待ってるから｣
｢おう｣
部署を見渡したら、まだ仕事をしてる人はポツポツ居る。
エレベーターに向かう前に、
7階に足を向けた。
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喫煙所の扉を開けて、1人タバコに火をつけた時
扉が開いて、誰かが入ってくる。
目を向けたら、｢お疲れ様｣って微笑む二宮くん。
｢あ、お疲れ様｣
｢あれ？翔さん帰ったの？｣
｢いや、もう少し仕事あるみたい｣
｢そうなんだ、Aちゃんは帰り？｣
｢あ…うん、二宮くんも？｣
｢俺も｣
名前の呼び方が変わってることに反応してしまうのは
きっと彼も、“イケメン”の部類に入るからで。
綺麗な鼻筋、顎のふたつの黒子、手入れされてない眉、
目にかかるくらいの前髪、
その髪の間から覗く茶色い瞳、
上唇の薄い口、モチモチすべすべ真っ白な肌、
意外とある肩幅に、丸っこい手。
こんなにまじまじと二宮くんを見たのは初めてで、
全然タイプじゃないのに見入ってしまうのは
彼がイケメンだからで。
｢灰、落ちるよ(笑)｣
じっと見つめてた私に笑いながら
自分のタバコをひょいと挙げて見せる二宮くん。
｢あ、ありがとう｣
｢なんか付いてる？｣
｢え？｣
｢俺の顔｣
しまった。気づかれてた。
｢あ、いや…ごめん｣
とりあえず謝っておこう。
イケメンすぎて見入ってしまったのは秘密で。
｢イケメンで見とれちゃった？(笑)｣
くふ、って独特な笑い方をする二宮くん。
｢自分で言うんだ…(笑)｣
｢間違いじゃないでしょ？｣
ん？って感じで首を傾ける彼。
あぁ、何考えてんのかわかんない。
トントン、と指先でタバコの灰を落とす彼から
視線を自分の足先に向ける。
ブーッとポケットの中で振動するスマホを取り出して
画面を見たら、『どこ？』と、櫻井からのLINE。
しまった。忘れてた。
｢じゃ、二宮くんお疲れ様｣
グシャっとタバコを押し潰して
｢またね｣
ヒラヒラと手を振る彼に会釈してロビーに向かった。
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作者名：湊 | 作成日時：2018年7月18日 0時
