俺にしとけ ページ23
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私の家の最寄り駅に着いて、
二宮くんと一緒に並んで
私の家への帰路を歩く。
この前は櫻井と歩いたこの道。
一人で歩くのと、櫻井と一緒じゃ
全然違って感じたのに
一緒に歩くのが、櫻井と二宮くんでも
全然違って感じた。
私の酔いはほとんど抜けて、
酔い醒ましにはやっぱり外の空気と
程よい緊張が一番私には効く。
｢歩くのゆっくりだね｣
一歩先の二宮くんがくるっと振り返る。
｢あ、ごめんね｣
｢んーん、女のコって感じじゃん｣
｢なにそれ？｣
｢可愛いっつってんの｣
混乱と動揺と羞恥。
｢なっ、に言ってるの…｣
｢可愛いよ、Aちゃんは｣
二宮くんの背中越しに
私の住むマンションのエントランスが見えた。
｢も、もう着くからっ｣
｢そ？｣
｢…ここで大丈夫｣
｢エントランスまで送るから大丈夫｣
｢…｣
気まずい。
気まずすぎる。
相葉くんと飲みに行った櫻井からは
未だに連絡が来ない。
きっと話に花が咲いてるんだろう。
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｢Aちゃん｣
エントランスに着いて、
ばいばいって交わした後
二宮くんの背中を見送ってたら
その背中が振り向いた。
｢ん？｣
二宮くんがこっちに戻って来る。
刹那。
私の唇から伝わった二宮くんの熱は、
私の体と思考を停止させた。
｢抵抗、しないんだ？｣
｢…っ、｣
｢可愛い｣
また、二宮くんの唇に
私の唇が奪われた。
煌々と光るエントランス。
外は暗闇。
きっとこちらからは見えなくても
向こうからは丸見え。
｢に、のみやくっ…！｣
｢俺にしとけよ｣
｢はぁ？｣
｢その反応は可愛くない(笑)｣
｢なにそれ｣
｢翔さんなんかやめて、俺にしたら？｣
二宮くんがキスした私の唇は
未だに熱を持って離さない。
その時、ポケットの中で
メッセージ受信の通知が鳴った。
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作者名：湊 | 作成日時：2018年7月18日 0時
