小さな束縛と小さな嫉妬 ページ17
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結局、櫻井とのお付き合いは
順調と言えば順調で。
勿論、喧嘩なんてしてないし
かと言って、イチャイチャもしてない。
ただ、会社でも櫻井からのスキンシップや
距離感は確かに前より縮まった気がする。
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あれから…っていう、あれからとは
櫻井と二度目のキスをした日。
あれから、数日経った今日は7月14日。
金曜日だ。という事は、明日は休み。
毎年、7月の半ばの金曜日に
色んな部署の合流飲み会がある。
今日はその飲み会の日。
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｢A｣
隣のデスクから声がして、
だけどパソコンから目は離さず
意識だけを隣に向ける。
｢ん？｣
｢俺、今日の飲み会途中抜けるわ｣
｢え、なんで？｣
｢いや、なんかさ。雅紀が飲みたいって言ってる｣
雅紀っていうのは、櫻井の高校からの友達で、
櫻井の話の中にはよく登場する彼。
私は名前しか知らないんだけど、
きっとよく笑う、優しくて太陽みたいに明るい人だと
勝手に想像してる。
｢あ、雅紀くん？そうなんだ、分かった｣
｢Aは？｣
｢私は最後まで居るよ、多分｣
｢…あんま飲みすぎんなよ｣
櫻井の小さな束縛。
｢うん｣
｢変なのに絡まれたら電話しろよ｣
櫻井の小さな嫉妬。
｢分かってる｣
｢帰りはそっちに帰るから｣
｢うん…え？！｣
思わず櫻井を見る。
｢何にビックリしてるわけ？(笑)｣
ケラケラ笑う櫻井を、私は
言葉の意味が理解出来なくて見つめる。
いや、理解はしてる。
してるから驚いてる。
｢いや…え？泊まる、ってこと？｣
｢そういうこと｣
｢なんで？！｣
｢なんでって…明日休みだろ？いいじゃん｣
｢いや、まぁそうだけど…掃除してないし…｣
｢今更気にするとこかよ(笑)｣
相変わらず、櫻井は余裕綽々だ。
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作者名：湊 | 作成日時：2018年7月18日 0時
