君の背中【赤羽業】3 (ページ39)

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みんなの希望が、命が消える音がする
渚くんの絶望した顔がうごめくしかないの中で鮮明に見えた

｢あははははは！！！そう！その顔が見たかった！！｣

鷹岡先生の…もう先生ともつけたくない男の笑い声が高らかに響く

渚くんの体が震えている
そして…その手にはナイフが握られていた

｢殺…してやる…｣

ダメだ
この殺意は持ってはいけない殺意

｢だめ…渚くん…冷静になって｣

必死に声を絞るが、渚くんには届かない
すると後ろからスタンガンが届いた
寺坂くんが投げてくれたのだ

私はそれを受け取り倒れていたからだを起こし渚くんの近くへ行った

｢渚くん…これ使ってあと冷静なって…ここで殺したら例え相手がクズでも殺人罪今の感情だけで動いたら殺せんせーを殺せなくなる｣

私は必死に言葉をつなげる
それでも渚くんは私の目を見ようとしない

｢飯塚さんの言う通りですその男を殺しても何の価値もありませんむしろ不利になるだけです｣

｢そもそも彼に治療薬の知識はない下にいた毒使いに聞きましょうこんな男は気絶程度で充分です｣

殺せんせーが渚くんを諭す

｢おいおい、余計な水刺すんじゃねぇ本気で殺しに来させなきゃ意味がねぇんだ｣

｢渚くん寺坂くんの…飯塚さんのスタンガンを取りなさい｣

渚くんの目が正気に戻る

｢その男の命と先生の命、その男の言葉と飯塚さんの言葉それぞれどちらに価値があるのか考えるのです｣

渚くんはやっと私に目を合わせる

｢やって…渚くん死なない範囲でぶっ倒して｣

その言葉を言い終わると渚くんは私の持っていたスタンガンを手に取る
それに安心し私は身を引くと一気に熱がおしよせ倒れた

そこにふわりと何かがかけられるような感覚を感じる
うっすら目を開くと渚くんが上着を脱いでスタンガンを腰に着けている姿が見えた

渚くん…スタンガンをしまっちゃった
でももう説得する力は残っていない