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私はそっとカルマの腕を振りほどく
「怖いけど…行くよ 逆に今指示に従わなかったら何するかわからないし 話合わせて冷静にさせて治療薬を壊さないよう渡してもらうよ」
なるべく不安にさせないように私は決心した顔でカルマにそう言った
「…渚くん行こうか」
後ろに心配するような視線を感じながら渚くんと一緒にヘリポートへ上がった
風が私たちの不安を煽るように吹き渡る
しくじったらみんなの命はない
鷹岡先生がさっきまで上るために使っていた階段を外した
これでもう誰も助けには来れなくなる
「まずは飯塚ァ!!こっちに来い!!」
私は渚くんと顔を見合わせた後、一歩前進する
震えそうな足を必死で抑えて鷹岡先生の顔を睨みつけた
「相変わらず憎たらしい顔だな!!!」
そう言った瞬間
頬に鈍い痛みを感じ吹っ飛ばされる
あの時と同じだ
私が痛みに耐え立ち上がろうとするも体が思うように動かない
目の前の鷹岡先生に体を押さえつけられていた
私は振りほどこうとじたばた四肢を動かす
「てめぇにはあのチビの殺意をもっと高める道具になってもらう」
その瞬間腕にチクリとした痛みを感じた
そしてその直後
頭がクラクラして意識を失いそうになる
「今…何をした…」
「あのウィルスの即効性があるものを注射器で打ち込んだんだよ せいぜいそこで苦しんでな!!!」
ゴッと脇腹あたりを蹴られゴロゴロと転がっていく私の体
「Aさん!!!」
渚くんの叫ぶ声が聞こえ、そちらの方を向き見つめる
でも視界はグラグラ揺れてあまり見えなくなっていた
「さぁ…潮田渚ァ こいつらを助けたければ闘う前に土下座しろ」
渚くんは動揺しながらも頭を地につけた
「…僕は実力がないから卑怯な手で奇襲しました …ごめんなさい ガキのくせに生徒のくに先生に生意気な口を叩いてしまいすみませんでした」
渚くんの言葉が一つ一つはっきりと聞こえる
これで…済んだだろうかあの男は
「あのウィルスで死んだやつがどうなるか知ってるか? 笑えるぜ 全身デキモノだらけ顔面がぶどうみたいに腫れ上がってな」
にたにたと笑う鷹岡先生
嫌な予感が一気に私を支配する
「見たいだろ?渚くん」
そう言うとスーツケースを空中に投げ起爆スイッチを押した
「やめろーーッ!!!!!!」
烏間先生の叫びは虚しく
爆発音と私たちの命ともに消えていった
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作者名:みづき | 作成日時:2020年3月16日 15時