1話 ページ1
始業式が終わって、家に帰ろうとした時の出来事だった。
廊下を通って靴箱へ向かっているアタシに、猛スピードで男子がぶつかってきた。
「いった……」
「……チッ」
……サイアク。
この男子、自分からぶつかってきておいて謝罪もせずに舌打ち。
そしてアタシの脇を通って帰っていく。
顔は何となく見たことあるような気がしたから、多分クラスメイト。
―――――こんなのがクラスメイトなんて、最悪。
アタシはだんだん遠くなっていく背中を見つめながら、そう思った。
「……かーえろ」
いつまでも廊下に立ち尽くしてるわけにはいかない。
アタシは家に帰るために、歩き出した。
「―――――――って事があったんだよ? 酷くな
い?」
「やばマジその男子クソじゃーん」
家に着くなり、アタシはお姉ちゃんに今日あったことを報告する。
この口ぶりから分かる通り、アタシのお姉ちゃんはギャル。
「謝罪できない男ってー、ムリー」
でも、お姉ちゃんは見た目も喋り方もギャルの癖に考え方だけはしっかりとしてる。
感謝、謝罪、挨拶が出来ない人は無理らしい。
「付き合う相手は考えなよー?」
「分かってるってー」
このテキトーな喋り方、移っちゃいそう。
てか、少し移ってるし。
「あーそういえばママ再婚相手見つけたらしーよ」
「……はっ?」
ソファに寝転んでスマホの電源を入れようとした時、お姉ちゃんがサラリとヤバイことを言う。
うちのママは昔離婚して、アタシが小さい頃から再婚相手を探してるみたいだったけど、それが見つかったなんて……
「変な人じゃないといいねー」
「ねー」
とにかく、お姉ちゃんの言う通り変な人……今日ぶつかってきた男子みたいなやつじゃなかったらいいけど。
……あっ、アタシあの男子と明日また会うんだった。クラス同じだし。
嫌だなー……
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななせ | 作成日時:2018年5月18日 17時