絶対的 ページ44
「...お前が罰を代わりに受けると言ったな」
リュウは、土下座し続けるユウの頭を踏みつけた。
くぐもったうめき声が、ユウの口から漏れる。
スバルは止めに入ろうとするが、ユウが必死にその腕を掴んでいた。
「本当に...申し訳ございませんでした...！！どうか、お許し、を...」
「あのガキは、私を、王子を侮辱し、私に歯向かった。その罪は重い」
「重々、承知、しておりますっ...」
ユウの脇腹を蹴りあげるリュウ。
ユウは鳩尾に入った打撃に、思わずお腹を押さえて苦しがった。
「お、まえ...」
「スバルっ...！！」
「.....っ.....！ち、くしょ...っ...」
「...陛下、いかがいたしますか？この者たち。私たち、王族を侮辱した、その罪は重いと思われますが」
リュウは、後ろでのんびりと馬に乗ったまま事の一部始終を眺めていた国王を見やった。
国王は、ゆっくりと、口を開く。
「...見たところ...この者たちは。リュウ、君のかつての仲間...ではないか？」
「...」
リュウは、その国王の言葉を聞いても、表情を動かすことは無い。
「...あの、おっさん...！」
「スバル...！なんも言うな、喋るな、頼むから！」
小声でユウは言い、またスバルの口を塞いだ。
リュウは、再びじっと、2人を見つめて、やがてため息をついた。
「国王陛下。帰りましょう。このような下賎の者に関わっているだけ、無駄でした」
「本当にいいのか？先ほども言ったが、この者たちは」
「いいえ、陛下。」
リュウは、馬に乗って、もう2人を振り返ることはしない。
「私には、仲間などおりません」
その言葉を聞いて、2人の顔から表情が消えた。
「...そうか。失礼、よく似た見間違いだったようだな」
「ええ。そんなこともあります。このような者ども、相手にするだけ無駄でした。...まぁいいでしょう。放っておいてもいずれ野垂れ死にするような人間です」
そうしてリュウは、アイクに続いて馬をゆっくりと進めた。
「リュウ」
ユウは、柔らかく、それでいてまた、寂しそうな声で、その背中に声を放つ。
もう返事をしないことは分かっていた。
それでもなぜか、ユウは呼びかけられずにはいられなかった。
案の定、リュウは、答えることも、振り返ることもせずにそのまま馬に乗って去っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆめ(プロフ) - Shion さん» うわああめちゃくちゃ嬉しいですっ...！！読んでいただいて本当にありがとうございます！！！がんばります！！！ (2018年4月15日 8時) (
レス) id: ee8561c84e (このIDを非表示/違反報告)
Shion - ゆめさんの作品全部好きです(*´▽｀*)更新頑張ってください(^-^)/ (2018年4月15日 7時) (レス) id: f68d4998df (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - でんでんさん» お立ち寄りいただきありがとうございます！私もこの世界観好きで、書いててめちゃくちゃ楽しいです！ファンタジーは初で、上手くかけるか分からないですが、温かく見守っていただけたら嬉しいです(*´ω｀*) (2018年2月25日 8時) (レス) id: ee8561c84e (このIDを非表示/違反報告)
でんでん(プロフ) - エイトさんのわちゃわちゃした感じと作品の世界観の作り込みがめちゃめちゃ好みです！なんだかほのぼのするような雰囲気があって、かわいー！ってニマニマしながら読んでます。毎話更新が楽しみです！これからもゆめ様のペースで頑張ってください！応援してます！ (2018年2月25日 0時) (レス) id: ea6bd4582f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 黒雪アリスさん» いろんなジャンルの作品に足を運んでいただき本当に嬉しいですっ！！！！こちらこそコメントいただけて励みになります！！ありがとうございます！ (2018年2月17日 21時) (レス) id: ee8561c84e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆめ
| 作成日時：2018年2月17日 14時
