８５. 夜明け ページ40
水蒸気爆発によって、敵は吹き飛んだ。
水の結界によって、周辺の被害は最小限に済んだが、廃ビルはそうともいかない。
目の前で崩れ落ちていく、廃ビルを呆然と見上げた。
これで、全てが終わったのだ。忘れてしまっていた過去に終止符を打つことができた。
『……お父さん、お母さん。私は、もう……幸せになってもいい、よね？』
もう呪いは、解除されただろう。
これで、私を縛るものはなにもない。
「A」
呼ばれて、振り返る。
ギュッと暖かさが身体を包み込み、その温もりが消えないように焦凍に応じる。
抱きしめられる感覚は随分と久しぶりのような気がして、スッと身体から力が抜けた。
「もう大丈夫だ。もうすぐ、警察が来てくれる。爆発と一緒に証拠も隠滅できたし、俺らは早く帰ろう」
『……そう、だね。私たちは…まだヒーローじゃ、ない』
「アイツが全てやったことにする。悪りぃ、Aにはもう少し、頑張らせることになる」
アイツとはエンデヴァーのことだろう。
まだ、素直になれない焦凍に苦笑いしながらも「大丈夫」と伝える。
もう、呪いに侵される感覚もない。少しは楽になったから。
「俺が、背負うか？」
『心配性、だなぁ。大丈夫』
そう言って歩き出した時、前から物凄い勢いで走ってくる冬美姉さんの姿が目に入って立ち止まった。
焦凍も驚いた様子で口を開けて動かない。
「Aー！焦凍ー！！」
息を切らしながらも私たちのところへたどり着いた姉は、私たちを同時に抱きしめて「良かった」と口にした。
心配で来てしまったらしい。
「もう！二人ともこんなに傷つくって……ほんと、良かったぁあ！無事に、終ったんだよね？」
頷くと、姉は「そう」とにっこり笑って。
「近くに車を停めてるから。帰ろ？」
と、私達の手を握って歩き始めた。
少しだけ、くすぐったくて落ち着かない。でも、何故だか、その手を離すことは出来なくて。
それは、焦凍もきっと同じ。
『ありがとう、冬美姉さん』
長い長い、夜が明ける。
学校に行くまでに寝れるだろうか？そんなことを考えながら私は姉の手を握り返した。
◇◆
「やられたか」
一人の男が残念そうに、でも愉快そうに言った。
その男の隣には痩せ細った青年。決して、好青年とは言えない。そして、お世辞にも綺麗とも言えない。
「…先生」
「あぁ、分かってる。いいかい？弔、ヒーローは強い」
「……」
「でも、彼らは弱い」
男は静かに笑った。
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
