７８. 燕尾服の悪魔 ページ33
Aが最後に言った場所。
そこは、廃ビルのようで所々が崩れていた。
ここに、敵がいる。
そう思うと、少しだけ手が震えた気がしたが、迷わず足を進める。
隣には、憎いアイツがいるが、ここでコイツに手を貸してもらう俺はなんて弱いやつなんだろうか。
「敵は何体いるか分からない。気をつけろ、焦凍」
「言われなくても分かってる」
まず、一階。
受付なのだろう。広いロビーにカウンター。外から照らす月の光だけを頼りに進んでいく。
二階。
三階。
四階。
音を立てずに階段を上りながらも、周りを警戒する。
どんな敵かも分かっていない。奇襲を受けたらそれこそ終わりだ。
「ここが、最上階だ」
「……ここに、いるんだな？」
「いいか、焦凍。お前は俺が合図するまで隠れていろ」
「は？ふざけんな。俺も」
「ふざけているのはお前だ。確かに責任は俺が取ると言った。それでも、表立って戦っていいって話にはならない。なるべくお前は戦闘を避けろ」
グッと拳を握りしめる。
確かに、間違ったことは言ってない。
それでも…俺は。
「お前のできることをしろ」
アイツの背中をただ見ることしかできない。
きっと、これからも俺はアイツの庇護のもと生きていくのだろう。
はやく、はやく大人になりたい。
ヒーローになりたい。
「くそ…っ」
俺に…出来ること。
今の弱い俺が出来ることなんて……何一つ無いじゃないか。
そう考えて下を向く。
そんな時、背後から。
「いらっしゃいませ」
と、弾んだ声を聞いた。
身体が動かない。殺気を含んだ声に恐怖しているのだろう。
後ろに敵がいる。それなのに、振り向くことすら許さないソレは、ケタケタと笑う。
「恐怖で身体が動きませんか？仕方のないことです。ええ、仕方のないことなのです。轟、焦凍…くん？」
条件反射でバッと氷を出し、前へと駆ける。
「焦凍、こっちだ！！」
アイツが呼ぶ方へと全力で走り、すぐさま家具の影へと隠れた。
なんだ？アレは。
背筋が凍りついたような錯覚さえ抱かせる殺気。
あんなバケモノと俺は戦おうとしてたのか？
震える手を必死に抑えながらも敵の様子を伺う。
「ふぅ、危ない危ない。さて、何をしますか？殺し合いますか？話し合いますか？」
そう言いながらも、ケタケタと嗤う燕尾服を着た悪魔の姿を見た。
整った顔立ちで、丸い眼鏡を掛けた三十代半ばほどの男性。
その肌は白く、まるで人ではない。
「それとも……夢をお届けしようか？」
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
