６７.ラスト ページ22
「なんて……僕にはやっぱり到底、なれないよね」
自嘲気味に笑った緑谷は一冊のノートを取り出して、パラパラとめくる。
「僕だって、分かってるんだ。ヒーローが好きだから調べてきたけど……きっと、ここに僕自身のことが書かれることはない」
『……それは？』
「…このノートには、ヒーロー達の分析したものを書いてるんだ。必殺技や、個性のメリット、デメリット。役に立つと思って」
こんな風にヒーローと向き合えるのは緑谷ぐらいかもしれない。
そんなことを思って、やっぱり理不尽だなぁと考えてしまう。
『個性を……あげられたらいいのに…』
ボソッと呟いた言葉は、緑谷には聞こえていなかったようで。
彼は、ノートをまじまじと見ていた。
「あ、轟さんの個性とか詳しく聞きたいな！」
『ふっ、いいよ』
無個性でも夢に向かって頑張る彼が可愛く思えて、微笑んだ。
こういう人がいる。
だから、私はきっと、自分が不幸だと思ってはダメなのだろう。
焦凍のように、強くはないこの個性でも…ヒーローにはなれるのだから。
「半水半炎だよね！すごいなぁ！！」
『そう、かな』
ヒーローに。
どんな、形でもいい。
それが人のためになるのであれば。誰かの心に残れるのであれば。
この個性を使って。
最高のヒーローに。
「きっと、轟さんなら…いいヒーローになれるね！」
なんで。
なんで、この子は笑っていられるのだろう。
どうして、他人のことをそう言えるのだろう。
『緑谷だって、ヒーローになりたいくせに』
優しい君だから。
『諦めないで。ヒーローになることを、やめないで』
ヒーローが好きな君だから。
憧れは時に残酷で。
それでも、前を向いてこられた君なら。
『きっと、いいヒーローになれるよ』
そう微笑んで。
緑谷に手を伸ばした。
本人は驚いた顔で、泣きそうな顔で。
笑顔を作ると、私の手を取る。
「じゃあ、１年間、ヒーロー科目指して、頑張ろうね」
『うん』
この一年。
ラスト一年。
精一杯、自分なりにやるんだ。
負けていられない。
もちろん、焦凍や爆豪にも。
たとえ、無個性相手でも、容赦はしないよ？
緑谷。
◇◆
勝手な都合で、一気に中3まで飛ばしました。
話の展開がアレ？となってしまった人もいるかと思いますが、ご理解のほどをお願いしますm(__)m
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
