70.見えぬ焦り ページ25
『私、今日ね。友達…できたんだ』
そう言って、笑うAに「そうか」と微笑んだ。
中学校生活はうまくいっているようで内心、ホッとしながらもAの話に耳を傾ける。
『焦凍も友達、できた?』
「俺は……必要ねぇ」
『ダメだよ、それじゃ』
頰を膨らませて俺を見るA。
怒ってんのか?ソレ。と言いたくなるほどに怒り方が可愛い。
「俺はAさえ居てくれればそれでいい」
『……それは、ずるい』
そう言われても、本当のことなのだから仕方がない。
友達なんて、いらねぇだろ。
「A」
『なに?』
「好きだ」
ギュッと抱きしめる。
細い体がビクッと揺れて、怒られるかもしんねぇと心配するが、まぁいいかと切り捨てる。
本当は、友達なんて作って欲しくない。
そんなワガママは言えねぇから、これで許してくれと心の中で謝りながら。
『急にどうした?』
「これからは……友達と帰るか?」
『…ふっ、なんだそんなこと考えてたんだ?』
抱きしめていた腕を放して、Aの方を見てみれば、ふにゃりと笑っていて。
また、抱きしめたくなる衝動を抑える。
『確かに、一緒に帰る日は少なくなっちゃうかもだけど……一緒に居られる時間はそう大差無いでしょ?』
–––––帰る場所は同じなんだからさ。
その言葉に、愛しさが増してAにそっと口付けた。
何秒かして、離れるとAは『なんで、そう突然なの』と苦笑い。
「俺、幸せすぎて死ぬんじゃねぇかって最近、思えて仕方がないんだが」
『それ言ったら、私もだよ』
この幸せがずっと続けばいいのに、と。
そう願って。
「なぁ、A」
『ん?』
「やっぱ、なんでもねぇ」
でもやっぱり、兄弟という壁がソレを邪魔してくるのではないかと心配になって。
なんで俺はお前の兄として生まれてきたのだろうと。
運命を恨む日もあって。
『あ!!あとさ、爆豪とも同じクラスになれたんだよ』
思い出したように言うAに、「そうか」と一言言いつつも思う。
俺でよかったのだろうか、と。
爆豪っていうやつもAのことが好きなことは知っている。
もしかしたら………いや、ちげぇな。
例え、この選択が間違って居ても。
俺はAを手放さない。
はぁ、ダメだな俺は。
学校が違うだけ。Aから他のやつの名前が出るだけで焦ってしまう。
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おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえるととても嬉しいです!!これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おつきみ | 作成日時:2018年3月26日 1時