６４.違和感 ページ19
「帰りたくないよー」
お泊まりも無事終わって、帰ろうとなったがコウが我儘を言っている。
もう、とてもめんどくさい。
『帰るよ。まだ、宿題終わってないし』
「げ…」
急に青ざめていくコウの顔。
この様子だと、全然手をつけていないようだ。意外と量があるから、結構大変だというのにアホだなぁ。
『ね？帰ろ』
「…はい」
かくして、無事に終わったのであった。
と言いたいところなのだが。
「あ！いいこと思いついた！！Aちゃん家に泊まりたいな！勉強会！」
何が泊まりたいな、だ。
迷惑だ、帰ってくれ。
そんな言葉を飲み込んで『急には難しいかなぁ』と柔らかく、それとなく言う。
「むー」
『そんな顔してもね。あ、唐沢くんの家に泊まれば？勉強、教えてもらえるよ』
確か、唐沢くんの成績は上位層だったはず。
彼にならコウを任せられるし、冬美姉さんに迷惑かけなくて済むし、なにより穏便に済む。
「そっかー。唐沢くんの家、行ったことないしね」
「俺の家？別にいいけど、幸は大丈夫か？ずっと、泊まりなんて親が…」
「大丈夫だよ！家に帰ってくることが少ないからね」
うん、話は纏まったみたいだ。
ほっと、一安心して車に乗り込む。
さっきから、黙り込んでいる焦凍が気になるけど、そもそもそんなに喋る方ではないので大丈夫だろう。
『もう、帰るよー』
皆んなが車に乗り込み、やっと海とおさらばだ。
2日しか居なかったのに、数日いたかのような疲労感に身を委ねながらも目を閉じた。
◇◆
家に着くと、冬美姉さんが出迎えてくれて、「お帰り」という言葉に安心した。
やっぱり、家が一番落ち着く。
「海はどうだった？」
『まぁ、いい鍛錬になったかな』
「楽しかったぞ」
「そっか。２人が楽しめたようで良かった」
にこりと微笑んだ冬美姉さんはそう言うと、台所の方へと戻っていく。
その背中がなぜだか怯えているように小さく見えて、違和感が襲った。
「……姉さん、無理してねぇか？」
それは、焦凍も同じだったようでそう疑問を口に出す。
『うん。それに……ピリピリしてる』
家の空気も何処と無く重たい。
多分だけど……
『お父さ…ん？』
今のところ、それしか考えられない。
「…アイツ、いんのか」
『そうなんじゃないかな？』
あからさまに顔を歪めた焦凍に苦笑いしながらも、父の部屋の方を見つめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
