６.兄 ページ7
朝、四時頃。
何故か目が覚めた私は、また隣で寝ている焦凍を起こさないように部屋を出た。
朝の寒さが身を震わせ自分の個性で身体の周りを少しだけ炎で纏った。
そのまま、台所まで来てみるとこんな朝早くからご飯を作っている母の姿が見えた。
『おかあ……』
「Aにも個性が出たようだな」
声をかけようとしてやめる。
そこには、母だけでなく父の姿もあった。急いで身を隠すように壁に張り付いた。
「たしか、半水半炎だったか。焦凍の劣化版ではないか」
ギュッと手を握った。
知ってるんだ。そんなこと、分かってた。
その場にもういたくなくて、帰ろうと部屋へと引き返そうとした時、ギシッと床が軋んだ。
「誰だ！」
そう叫ばれた瞬間に、走って走って、部屋へと向かう。
きっと、私の顔は酷く歪んでいることだろう。
部屋についた瞬間に襖を閉めて、座り込んだ。
まだ時刻は四時過ぎ。
それでも寝る気にはなれなくて体操座りのまま顔を足の隙間に埋めた。
流れ出る涙を必死に堪える。
『っふ……ぁ』
知っていた。
分かっていたはずだった。
何分たっただろうか。
ふと、暖かい温もりが頭を撫でた。
『…？』
そこにいたのは兄だった。
焦凍は何も言わず、ただ私の頭を撫でるだけ。それでも、少しだけ心が軽くなった気がした。
『……あり、がとう』
「だいじょうぶ。Aはぼくがまもるから」
『う、ん』
でも、違うんだ。
違うんだよ焦凍。
私はその言葉が欲しいんじゃなくて……
ただ、私も誰かを守る存在になりたいだけなんだよ。
暖かい温もりを感じながら、私の意識は落ちていった。
◇◆
目を覚ます。
目を開けるとそこに焦凍はいなくて、首を傾げた。
目が腫れてとても痛いが、そんなこと気にしてる余裕はない。
ドタドタと走って台所へ向かえば、焦凍の後ろ姿が見えた。
「しょーと！！」
『あ、A』
その顔には、無数のアザや傷が出来ていた。
『しょーと、？そのきずどうしたの？』
「なんでもないよ」
ニコリと笑う焦凍。
母はその姿を悔しそうに思いつめた顔で見ていて、理解するのは早かった。
あぁ、私は兄を守るどころか…傷つけてしまったのか。
『なんで、…なんで』
その傷は父との特訓のせいだろう。
どうして、自分を傷つけてまでしようと思ったの？
「Aは気にしなくていいんだよ」
私のせいじゃないか。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
