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5.個性 ページ6

『おー、しょーとの個性かっこいぃね!!』


四歳になって、やっと焦凍と私の個性が発現した。
予想通り、焦凍の個性が半冷半燃で父は喜び、母はなんともいえないような顔をしていた。
因みに、わたしの個性は半水半炎だ。


「これで、Aを守れる」


ちゅ。

そんな音がして額に違和感。
すぐに、キスされたのだと分かって、額を抑えた。


『むぅ、しょーと!!』


「?」


本人は悪いことをしたなんて思っていないという顔で首を傾げた。
だから、少し仕返ししてやろうと焦凍の頰にそっと、キスを落とした。


『しかえし』


ニコリと笑ってやると、彼は頰を抑えて天使のような微笑みを見せる。


「A、好き」


『ん』


仕返しのつもりが本人は嬉しがっている。
そんな事実にため息が出そうになって、なんとか抑えた。


「本当に仲が良いわね」


私たちを見て微笑む母に「うん!」と返す焦凍。
仲が良い。側から見ればそうなのだろう。私たちからしたらこれが普通だ。


「ぼくね、Aとけっこんする」


『じゃあ、わたしも』


「ふふ、そうね。結婚式に呼ばれる日を待ってるわ」


なんて、幸せな会話だろう。
個性なんてなければ、ずっとこのまま幸せに生きて行くことができたのだろうか。


「うん!二人でヒーローになって、さいこうのけっこんしきあげる!!」


ヒーロー。
その言葉に僅かに母の表情が強張った。


「やっぱり、二人はヒーローになりたいの?」


母はヒーローを恨んでいるのだろうか。
父に対して恨みを持っているのだろうか。


「うん!エンデヴァーじゃなくてオールマイトみたいなヒーローになりたい。それで、お母さんもAもまもる」


「わたしは……やっぱり、やめようかなぁ」


そう言うと、焦凍が「どうして?」とわたしの顔を覗き込んだ。


「しょーとにまもられるほうがいいの」


なんて、一丁前に嘘をついてニコリと笑った。


「そう。じゃあ、焦凍はヒーローになりたいのね」


母はやはりどこか悲しそうで無理に笑っている。


「…だって…ヒーローいがいにできることなんて」


そして、焦凍もまた無理に笑っていた。

母も焦凍も被害者だ。
焦凍はヒーローになるべくして生まれた子供。ヒーロー以外になるなんて選択肢は元からないのかもしれない。


「いいのよ、おまえは。血に囚われることなんかない…なりたい自分になっていいんだよ」


そう言う母は微笑んだ。

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設定タグ:ヒロアカ , 轟焦凍 , 双子   
作品ジャンル:恋愛
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか?それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います! (2018年8月18日 12時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます!直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!!続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです!!頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おつきみ | 作成日時:2017年12月5日 23時

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