３４.上の空 ページ36
「おーい、Aちゃーん。元気？」
Aちゃんの視界を遮るようにブンブンと手を振ると『うーん』と軽い返事が返ってきた。
正直に言って、今日の彼女の様子はちょっとおかしい。
「球技大会だって」
『うん』
「どこにしようか」
『うん』
「バスケが良さそうだね」
『うん』
こんな感じで、全てにおいて二つ返事で、ボーッとしているのだ。
初めてできた友達。悩みがあるのなら聞きたいのだけど……
結局、球技大会の種目はバスケとし、Aちゃんの名前も書いておいた。
彼女の様子はまだ治らない。
「Aちゃん、大丈夫？何かあったの？」
そう声をかけると、彼女は私の方をジッと見つめて何か言いたげに口をパクパクと動かした。
『えっと、』
「うん。ゆっくりでいいよ」
『………綺麗って言われた…の』
「え、誰に？」
そう聞き返せば、彼女は顔を赤くして俯く。
彼女の好きな人はきっと、お兄さんだ。私は人より観察に優れているからすぐに分かってしまった。
だから、Aちゃんに興味を持って、友達になりたいと思えた。
できる限り、力になってあげたい。
『む、昔からの知り合いだよ。初めて、そんなこと言われたから』
それが嘘だとわかっていても。
Aちゃんから話してくれるまで私は信じて待つことしか出来ないのだ。
「へぇ、だから、うわの空なんだ？幸せ者め」
『ちょ、違うってば』
笑いながらも、少しだけ彼女の表情は影っているようにも見えた。
兄に恋するのはどれだけの覚悟が必要なんだろうか。私には分からない。
「まぁ、切り替えなよ。嬉しいのはわかるけどさ」
『うっ、コウってさ、もしかして意地悪？』
「さぁね」
ニヤリと笑う。
彼女はそんな私の様子をジト目で見ていて、更に笑ってしまった。
「Aちゃん、バスケ、頑張ろうね」
『え』
そう言ってやると驚いた顔をして種目別に書かれてある黒板を見上げる彼女。
どうしても、その姿が可愛らしくて口元を押さえた。
『ん、こうなったら優勝する』
人に見えないようにガッツポーズをする彼女に「そうだね」と返して微笑んだ。
どうか、この関係がいつまでも続きますように。
そう気づけば願っていた。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
