２２.喧嘩腰 ページ23
「帰ったか」
玄関に入った瞬間に目に入るのは仁王立ちした父。
多分、訓練をするつもりで私の帰りを待っていたのだろう。
ここに、焦凍がいれば説得するのに時間がかかるが、結局一人で帰った私を止めるものなどいない。
『いいよ。訓練、しよう』
ぶっきらぼうにそう言い放って、端の方にランドセルを置いた。
なんでもいい、ただ何かに熱中していたい。
「……ついてこい」
父の後を追って、訓練場につくとすぐにジャージに着替える。
この感じ、久しぶりだ。
訓練はしているのが、父と戦うことはあまりない。だからだろうか。
「時間は１０分。思いっきりこい」
私が準備し終わったのを見てか、かかってくるのように言う父。
一つ、息を吐いて、父を見据えた。
まずは……
炎を思いっきり放って、父も炎で応戦したのを確認してすぐ、水を気付かれないように空中に溜めていく。
「ほぅ、前の珍妙な技は出さないのか」
『奥の手はまだ、出さない』
「余裕だな」
余裕、か。
溜まった水を大量の小剣に変えて父に外れるように放つ。
「むっ」
外れるように放ったからか、父はその場から動こうとはしない。
「狙いが甘いぞ」
そう笑って、炎で水の小剣を蒸発させようとする父に笑いかけた。
『やっと、勝てる』
そう呟いた瞬間だった。
バンッと後ろから音が聞こえて、父も私も動きを止めた。
「なに、してんだ」
焦凍だ。
多分、いや確定で、私のことを探しにきてくれたのだろう。
「行くぞ。A」
『なんで？』
手を引っ張られて、その手を振りほどく。
あと少しで勝てたのに。
そんな文句を心の中にしまって、そう疑問を口にした。
「焦凍、邪魔するな」
そうだよ。
邪魔をしないで。
なんで、なんでここに来たの。
「うるせぇ、いいから行くぞ」
また、手を引かれて今度は振りほどくこともせずに焦凍の後ろを歩いた。
父の叫んでいる声が遠くなっていき、ついた場所は焦凍の部屋。
「なんで、先に帰った」
着いた直後に言われた言葉は予想外のもので少しだけ言葉が詰まる。
『……なんで、帰っちゃいけないの』
やっと出た言葉は喧嘩腰のもので、自分でもビックリするぐらい声は低かった。
今思えば、焦凍に喧嘩を売ったことなどなくて、これが初めてかもしれない。
「帰る場所、おんなじだろ」
違うんだ。
そうじゃなくて。
.
今日も、貴方の気持ちが分からない。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
