２１.卒業式 ページ22
「本日はお日柄もよく……」
そんな言葉が体育館に響く。
校長が、長い長い挨拶をしている中で一つ欠伸をすると、周りを見渡した。
卒業式。
一般的にそう言われるこの行事は、お別れの日である。
今日で、この学校とはお別れで、友達や先生ともお別れ。そのせいだろう、泣いている人も多い。
焦凍はというと、表情一つ変えずに校長先生の方を見ていた。
知っていたが、やはり焦凍は泣く派ではないらしい。
「……学校長の式辞と致します」
パチパチと拍手の音が響いて、校長が頭を下げる。
時間的に１５分だろうか。
正直に言って、長時間座るだけというのは嫌いだから早く終わって欲しい。
そんな願いは虚しく散り、卒業式は長々と続いていく。
終わったのは、三時間後ぐらいで、ほとんどの人が目を赤くして鼻をすすっていた。
これで、終わりなのだ。
今思えば、小学校での生活はあまり良いものではない。
友達という友達もいないし、楽しいということもほとんどなかったように思える。
『終わり、かぁ』
泣いている人を見ては、少しだけ羨ましく感じて色々と考えてしまう。
きっと、この子は泣いてしまうほどの思い出がこの学校にあるのだ、とか。
私は、そんな思い出などないというのに。
「みんな、あらためて！卒業おめでとう」
ワイワイと騒いでいる教室に、入ってきたのは先生で、その目には涙を溜めていた。
それを見てか、さらに皆んな涙を溜めて泣き出すという状況はなんとも言い難い。
「皆んなして、泣かない！！ほら、最後の授業だ」
そう言って始まるのは、本当に最後の先生の授業だった。
楽しくおしゃべりして、卒業アルバムを配られて盛り上がったり。
終いには、写真を撮った。
「じゃあ、みんな……またね」
先生のその挨拶も最後で。
賑やかだった教室はどんどん静まり、生徒も散り散りに帰っていく。
その様子をただなんとなく見ていた。
寂しくもない。
なんの思入れもない。
私の初めての卒業式は虚しさが残るだけ。
『…帰るか』
ランドセルを持って、焦凍の方に向かおうとした時、その場に焦凍はいなくて周りを見渡した。
ランドセルはあるのに、焦凍はいない。
ふと、焦凍の机に手紙があるのを見つけてそれを手に取る。
可愛らしい文字で書かれた焦凍君へという文字にドキリと心臓が鳴る。
あぁ、卒業式なんて。
嫌いだ。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
