１９.不注意の ページ20
土曜日。
ようやく長い一週間も終わりを告げ、学校も休みとなる最高の日だと思う。
そんな朝から、毛布に包まりながらテレビを見ていると不意に声がかかった。
「話がある」
上を見上げれば、立ったまま、私を見下ろす父の姿があり、その顔は険しい。
『ここじゃ、ダメ？』
「お前がそれでいいのなら」
『分かった』
テレビの電源を落とし、毛布をとる。
真向かいに座った父は依然として険しい顔で私を睨んだ。
自然と、唾を呑み込んで手を握る。
「お前、折寺中学にいきたいそうだな」
『……文句でも？』
「轟家の名を貶めることだけはするなと何度言ってきた！！お前は仮にも焦凍の双子ということになってるんだぞ！！」
父の声が部屋中に響き、私の鼓膜をも刺激した。
この部屋に誰もいなかったことだけが救いで、私にとっては焦凍が今、家にいないことが一番の救いだった。
あぁ、父はやっぱり私のことなんて眼中にないのだ。
そう思うとなんだか、涙が出て来そうで唇を噛みしめる。
『それでも私は、折寺中から雄英を目指したい』
本当は凝山中学に通いたい。
そんな気持ちを隠して、やっとついた嘘に父は驚きの色を見せていた。
『お父さんの訓練だって、ちゃんと受けるし、全国模試も偏差値70はとってみせる。私はこれでも焦凍の妹だから』
「行かせてやれよ」
『…！？しょ、ぅと』
不意に聞こえてきた声に振り向くと、どこから聞いていたのか焦凍が父を睨みながら立っていた。
その顔には僅かに汗が伝っており、ランニングから帰ってすぐだということが伺える。
「本人が行きたいところに行かせない方が親としてどうかと思うが」
「………好きにしろ」
分が悪いと思ったのか、足早に去って行く父。
それにまず安堵し、礼を伝えるべく焦凍の方へと近寄ろうとしたがその動きを止めた。
目に見えて分かるほど、焦凍が怒っているのが分かったからだ。
「で、俺は知らなかった訳だが……」
アハハと笑いながら一歩、焦凍から距離を取る。
言い訳などあるわけもなく、ひやりと汗が背筋を撫でた。
「なんで、言わなかったんだ？」
久しぶりに見た、焦凍の黒笑にダラダラと流れる汗。
一歩下がって、一歩詰め寄られの繰り返しの中で、先に逃げ場がなくなったのは私の方で。
焦凍の両手が両肩に置かれた。
「理由、あるんだろ？」
『えーっと、その』
焦凍の目線から逃れるように、視線を下げて、数分前の自分を呪った。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
