１８.一月 ページ19
「さて、皆んな受験するところは決まったか？」
先生の声が教室中に響く。
その言葉に生徒それぞれが顔を輝かせて「はーい」なんて言っている。
一月。
もうそろそろ受験の時期だ。
「うんうん。元気でよろしい」
先生が、色々注意事項を話している中で、一人窓から外を見上げた。
私の席は窓側の一番後ろでなかなかに良いところなのだ。
「よし、じゃあこれで朝の会は終わりだ。と、忘れてた。轟A、ちょっとついて来い」
外から目線を外し、先生の方を見る。
あぁ、進路についてか。
そう、予想を立てて返事をしておいた。あの先生はなにかと厳しいのだ。
朝の会の号令が終わって、先生と教室を出る。
教室とは違って一月の冷えた空気が漂う廊下は少し苦手だ。
教室の篭った空気もあまり好きではないが。
「んで、呼ばれた理由、分かるだろ」
『さぁ？』
「優秀な生徒であるお前が、受験をせずにどこを目指すって？」
『折寺中学校』
「はぁ…なんで、そこなのよ」
折寺中学校。
特に何もない普通のありきたりな中学校だ。
そこを選んだ理由も大したものではなくて、ただ焦凍と違うところに行きたかっただけだ。
『行きたいと思ったからです』
「………まぁ、分かった。一応、聡明中学も考えときな」
『はい』
「てことで、コレ。今日の理科で使うから運んどいて」
廊下を歩いていてなんとなく気づいていたが。
まったく、人使いの荒い先生だ。と心の中で悪態を吐く。
見上げると理科準備室と書かれた札があって、ため息をついた。
「ため息ついたら、幸せ逃げるぞー。轟」
『ご心配なく』
「はは、可愛くないなぁ」
『、先生こそ、可愛くしないと一生、結婚できませんよ？』
「んな、このクソガキめ。宿題増やすぞ」
そんな会話をしていたからか、一時間目までの休憩が終わってしまった。
二人揃って、遅刻だ。まぁ、先生がいるから近くにはならない…はず。
『戻りましょう』
「あー、おい。フライングだぞ！！」
理科準備室の扉を閉めている先生を置いて早々に教室へと目指す。
『平和だねぇ』
そんな事を呟いた。
まだまだ冷え込むこの冬は一層寒くなっていくのだろう。
授業が始まったからか、静かな廊下にタッタッタと走る音がして笑みがこぼれた。
『先生、走っちゃダメですよ』
そう言うと、先生はバツが悪そうな顔をして謝るのだった。
うん、やっぱり、平和だ。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
