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17.誇り ページ18

ピピピッ。

そんな音が聞こえて、枕の上辺りをバシッと叩いた。すると、聞こえなくなる音。

少しだけ瞼を持ち上げて、周りを見渡すと横で寝ている焦凍の姿が映って………


『なんでいる!!』


そう叫んだ。

まだ、朝6時。
冷たい空気が肌を撫でる中で、目の前にいるソイツは目をこすりながらも体を起こす。


「はよ」


「あ、うん。おはよう……じゃなくてさ」


そう言うと、焦凍は首を傾げて、何が悪いのかさっぱり分からないと言いたげに口を尖らせる。


「俺は怒られるようなこと、してない」


あぁ、その言い方は…なんか。


『狡い』


そう呟けば、焦凍は「ふは、なんて顔してんだ」と笑った。
そんなにひどい顔をしてるつもりはなかったのだが、焦凍には笑えるほどおかしい顔だったらしい。


『はぁ…、もうダメだからね。こんなのお父さんに見られたらなんて言われるか……』


「………」


捨てられた子犬のような目で見られてもなぁ。
一つため息をつき、『ダメ』と一言言うと焦凍はまた、口を尖らせた。


「俺ら、兄弟だろ」


『……うん、だけどダメ』


犒残鎰

なんで、昔嬉しかった称号がこんなにも邪魔に感じてしまうのだろう。
焦凍の隣に居られることがこんなにも苦痛に感じてしまうなんて思ってもみなかった。


『よし、下に降りようか』


僅かに引きつった笑みでそう言えば、グイッと手を引かれてぽすっと焦凍の腕の中で抱き締められる。

あぁ、ダメだよ。
そんなことしたら、諦められないじゃないか。


「1ヶ月。1ヶ月だぞ?」


『………』


「どれだけ…心配したと思ってる」


何も言えない。
だって、早く逃げなかった私が悪いのは事実なのだから。
それでも…それでもね。


『焦凍があの時、助けてくれたでしょ?嬉しかったんだ私。あぁ、焦凍はカッコいいヒーローになれるって』


そっと、左目を手で覆って焦凍の方を向いた。
抱き締められているから、どうしても焦凍の顔が近い。


『ありがとう焦凍』


だから、この事件は私の誇りでもあるんだ。


「狡いのはどっちだ」


『えーー』


ギュッと抱き締められる力が強くなって、前を向かされる。
焦凍の頰が少しだけ赤くなっていたのは気のせいだろうか。


「もう少しだけ」


『しょうがないなぁ』


今日だけなら、我慢しよう。
わがままな兄のために。



ふと見た時計は6時15分を指していた。

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設定タグ:ヒロアカ , 轟焦凍 , 双子   
作品ジャンル:恋愛
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか?それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います! (2018年8月18日 12時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます!直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!!続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです!!頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おつきみ | 作成日時:2017年12月5日 23時

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