１６.退院 ページ17
手を握って開いてを繰り返して感覚を確かめる。
聞いた話によると、私の身体は相当な怪我でいっぱいだったらしい。
それを、回復系の個性で無理やりに直したから後遺症があるかもしれないとのことだった。
『ん、大丈夫』
一応、感覚的には後遺症はないと思われる。
左の目以外は。
「よし、退院おめでとうAちゃん。検査は必ず来ること。いいね？」
『わかった』
それじゃ。
と先生が私を見送って、手を振った。
だいぶお世話になったなぁ、なんて思いながら手を振り返す。
まぁ、結局私のことについては教えてくれなかったが。焦凍に聞くこともできないので諦めようと思う。
病院の外には焦凍が待っていてあのお父さんと一緒に来たみたいだった。なんとも、珍しい限りである。
「A、帰るぞ」
そう優しく微笑む焦凍に頷きながら、車へと乗り込んだ。
父は普段着を着ていてなんとなく新鮮味を感じてしまう。そんな父に『お願いします』とだけ言った。
たとえ、父を恨んでいたとしても、そこはキチンとするべきだ。
「明日はゆっくり休め。学校側には俺が連絡を入れておく」
やはり、珍しい。
父がこんなにも優しかったことなんて今までであっただろうか。
「Aが休むなら俺も休む。それぐらい、いいだろ」
不意にそう言った焦凍に顔を歪めた父。
さすがに父がその条件を呑むとは思えないけど。
車の中で微妙ななんとも言えない空気が漂う中で父はいつもの威厳のあるような顔で焦凍の方を見た。
「お前のやるべきことを見誤るな」
たった一言。
たった、それだけ。
でも、一言それだけの言葉にはヒーローになることを義務付けられた焦凍への威圧がかけられていた。
簡単に言うと、学校に行けということだ。
「俺は身近な人も守れるヒーローになりたいんだ。オマエとは違う」
フイッと窓の方を向いてそこからは聞く耳持たずといった焦凍に父はまたも顔を歪めた。
「好きにしろ。そのかわり、次のテストでは100点を取ってもらうからな」
『それはっ！！』
「あぁ、それでいい」
無茶だ。
小学校のテストとは言え私たちの通う小学校は中々にレベルが高い。
中学受験を考えた子供が多く通うそんな学校だ。
「大丈夫だ」
心配する私をなだめるように微笑む焦凍。
なんで、そこまでしてくれるのかよく分からないが、私がまた焦凍の足枷となっていることは分かった。
もう、邪魔なんてしたくないのに。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
