１３.傷 ページ14
真っ暗な暗闇の中で誰かを探していた。
それは私の命より大事な人。
『しょ……ぅ、と』
かすれた自分の声で、目を覚ました。
はずなのに、視界は真っ黒なままでそっと目を触る。
少し経って見えるようになった目は視界が狭くどこか霞んでいた。
ここは、どこだろうか。
しばらく周りをゆっくりと見ていると、ここは病室のようだと分かった。
たしかに、病院の独特な匂いが鼻を刺激する。
そして、手には包帯がぐるぐると巻かれていることに気がついた。
「…！目を覚ましたのか！！」
ふと、驚きを含んだ声が耳に届いて、そっちの方を向いた。
揺れる視界の中で確かに白衣を着た男の人が映る。
『だれ、？』
「私は君の担当医だ。小林という」
『先生…か』
「あぁ」
年齢は３０代だろうか。
少し、古風を思わせるその先生は嬉しそうに頷いた。
「今の君の状態を話しておこう」
そう言うやスッと目の前に鏡を置いて「見てごらん」と一言。
先生が少しだけ辛そうな顔をしたのは私の見間違いではないはずだ。
『………これ、は』
鏡を見るとすぐに左側の顔の傷に目がいった。
大体10センチほどだろうか。その傷跡は縦に目を斬り付けられたものだと思われる。
通りで、視界がおかしい訳だ。
驚きとかそういうのではなくただ納得。
もう治っているからだろうが痛みなどはなくて、特に生活するには問題なさそうだった。
「大丈夫。それほど深いものではなかったからね。また、見えるようになる」
『そうですか』
それにしても、不思議に思っていることがあるのだが。
この傷はいつ付けられたのだろうか？
私の記憶はどうも曖昧でよく覚えていないのだ。
『あの』
「なんだい？」
『私はなんで、ここにいるの？』
「……覚えてないのかい？」
妙に真剣な表情でその先生は教えてくれた。
私の通っている小学校に敵が来たこと。それと、その時に私の目が切りつけられたこと。
言われて見れば確かに、そんな事もあった気がする。
確かあの時、誰かが助けてくれ…………て。
『兄は！？焦凍は無事ですか！！？』
記憶が鮮明に戻ってきて、そう先生に叫んだ。
兄だ。私には敵からも臆する事なく守ってくれた兄がいた。
「落ち着いて。君のお兄さんは無事だよ。…それとね、その事件からもう１ヶ月は経ってるんだ」
１ヶ月。
先生から発せられたその単語に流石に驚いて目を見開いた。
何故か、ジンジンと左の目が痛む感覚が広がっていくように感じた。
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おつきみ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» えっと、それはステインさんが主役の小説ということでしょうか？それなら、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、挑戦できたらしたいと思います！ (2018年8月18日 12時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様の小説も書いて欲しいです (2018年8月18日 12時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 夢雪さん» 確かにそうですね。報告ありがとうございます！直しますね (2018年7月28日 14時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 兄弟というより兄妹なのでは…? (2018年7月27日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます！！続きも楽しみにしてくださるとは、とてもありがたいです！！頑張らせていただきますねp(^_^)q (2018年2月15日 7時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年12月5日 23時
