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小さく頷くゾムくん。
私とゾムくんが付き合う前。ゾムくんは、よく女性だと思われる人から連絡を受けては、学校をサボっていた。
実際に、この目で見ていたし、それについて、今更、非難するつもりはない。
ただ、その事実がゾムくんにとって、後悔と過ちとして残っていることは知っているつもりだった。


「……俺、サイテーやったやん。……少し、心配なって…」


ゾムくんにしては、弱々しい。
思わず、立ち止まって、ゾムくんの手を優しく握った。
多分、私を見つけて抱きついて来たのも、実は、ソレが原因だったのではないかと思う。
そう思うと、なんだか愛おしい。


「ふふっ、好きだよ」


「はぇ?」


ゾムくんの手を引いて、歩き始める。
繋いでる手を見せつけるように持ち上げて、クスクスと笑った。
ゾムくんは「反則やろ」と少し頰を膨らませて、その後に、安心したのかニコッと笑う。


「…あ、職員室、着いちゃった」


そうこうしている内に、職員室と表記されてある札を発見して、名残惜しくも、手を離す。
ゾムくんは、少しだけ緊張した面持ちで、私の斜め後ろ辺りに立った。
コンコンコンッと三回ドアをノックし、職員室に足を踏み入れる。


「失礼します。二年二組の花宮Aです。安田先生、いらっしゃいますか?」


様式美である言葉を述べ、職員室を見渡せば、私たちのクラスの担任である安田先生が手招きをした。


「ゾムくん、行くよ?」


「はーい」


安田先生は私の後ろにゾムくんが居たことに驚いており、他の先生からの視線もちらほら。
そんな中で、安田先生の席に到着した私は、先生に聞く。


「先生、何の用ですか?」


「いや、次配るプリントのホッチキス止めをして貰いたいと思ったんだが…」


だが?

言いづらそうに言葉を渋る先生。
その視線の先は、私ではなくゾムくんで、小さく苦笑い。


「先生、デート中ではないですよ」


「……そうか。良かった」


「プリントはどこですか?」


「あぁ、今から刷る」


今からかぁ。
相変わらずだなぁ。

先生の席の丁度後ろにあるコピー機をチラッと見て、パソコンを操作し始める先生をぼんやりと眺めて、コピーが終わるのを待つことに。


「……それで、なんで緑山もいるんだ?」


待つ間、話し相手はしてくれるらしい。
先生の問いに、ゾムくんではなく私が「ついてくるんです」と答える。

間違いではない、はず。

その答えに、先生は小さく笑って、ゾムくんを見る。

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月見(プロフ) - ゆうなさん» 感想ありがとうございます!!文才が足りないところも多々ありますが、頑張ります!(笑) (2021年2月22日 20時) (レス) id: 3ca37bb3dd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 続編…!!!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、ゾムがイケメンだ、イケメンだぁぁぁぁぁっっ!!!そして夢主も可愛いっっっ!!ぁぁぁぁぁぁあぁあ、話が面白すぎる!そしてめっちゃ癒されます…てかもうにやけ顔が収まらんww これからも頑張ってください!!! (2021年2月18日 4時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - RURUさん» 続編の方にも、感想ありがとうございます!続編も頑張りますね! (2021年1月23日 16時) (レス) id: 1f912309a9 (このIDを非表示/違反報告)
RURU - すき焼き…(訳:続編も最高です) (2021年1月14日 16時) (レス) id: 4226f6833e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月13日 23時

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