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「な、んで……」


インターホンから聞こえて来たのは、か細くでもハッキリとした声だった。
そして、多分…木村春本人なのだろう。


『約束通り来た』


明確に淡白に伝える。
その方が相手にもいいだろう。

しばらくして、ガチャっと家の扉が開いたかと思えば、パシンーと音が響いた。
そして、走る痛み。

あぁ、平手打ちされたのか……
頰にある痛みにそう呑気に考えながら、力のままに顔が横へ向く。


「馬鹿、なんじゃないの?何を考えてここに来たのか知らないけど、あんたは来るべきじゃなかった!!」


『……君は、可哀想だった。救いを求めている気がした。ただ、それだけだよ』


「うっさい!あんたなんかに何が分かる!!信頼なんて、この世で一番…脆くて汚くて信用できないのに…そんなもので、私に立ち向かってさ!!」


『私と同じだね。けど、君は間に合うよ』


汚れてしまった私よりも、君は、まだ間に合う。
だって、君には姉がいる。大事に思ってくれる姉が。


「知ったような口を…」


『絶望…』


ハッとしたような顔で息を飲む彼女。


『絶望、絶望か。ほんと、安い』


「……安い?馬鹿にしてるの?」


『馬鹿に…?はは、してないよ』


ただ、絶望だけでは生温い。
絶望して絶望してさらに絶望して……そして、その先にあるのは、本物の闇だ。
気が狂いそうなほど静かで、深くて光すら届かない。


「…やっぱり、狂ってる」


『そうだね。だから、助けようと思えた』


私みたいな人間は、もういらない。
闇にこれ以上、人はいらない。


『だから、友達になろうよ』


「……あんた、やっぱり嫌いよ。私に似てるから、だから気に食わなかった」


『…そう。でも、私は信じろなんて言わないし君を肯定するつもりもないよ。ただ、認めてあげる』


「みとめる、……なんて。そんなの、いるわけないじゃん」


存在価値を認めて欲しい。
私という存在に気づいて欲しい。

どうか、私を見て欲しい。


『私は、どうしても君のことを嫌いになれない。私も幸せになってはダメだった、だから天罰が下った』


そうだ。
生まれて来たらダメだった私が望んではいかなかった。


「だから、私のしたことは忘れるって…?」


『ううん、忘れない。けど、許すよ』


そう言って、精一杯の作り笑いをした。
白布くんにも太一にも迷惑をかけたから、もう終えないといけない。
これは、


『友達』


「先輩なのに、ですか」


『うん』


悲劇だから。

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4す。 - お…おわり?! (2022年5月10日 1時) (レス) @page13 id: 1c7bf85d9b (このIDを非表示/違反報告)
おっふ - 神。こういうお話好きなんです、、、。その中でもわかりやすくてよかったでっす!! (2020年1月1日 21時) (レス) id: f0059e6ce4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - くろすけさん» ありがとうございますm(__)mそう言ってもらえると本当に嬉しいです!!更新は遅めですがよろしくお願いします!! (2017年10月9日 19時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ - 二文字で言うと、最高! 凄い作者さんですね!更新頑張ってくださいね!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: 8a73dacc7d (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - いちごみるく☆さん» 感想ありがとうございます。これから、少しづつ更新していくのでよろしくお願いしますm(__)mずっと、更新していませんでしたが、これからしていく予定です (2017年8月15日 0時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おつきみ | 作成日時:2017年3月19日 17時

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