引き分け ページ3
『ん……ぅ』
浮遊感に襲われ、目を開く。
どうやら太一に背負ってもらってるらしい。
「あ、起きた」
『…白布くん？』
「赤葦、急に倒れるから…」
『迷惑かけたね、ごめん』
そう、迷惑。
こんなの、迷惑に決まってる。
「そうじゃないだろ。お前が言うべき言葉はソレじゃない」
『………ありが、とう？』
「あぁ、まぁ…背負ってんのは俺じゃなくて太一だけど」
『あ、そうだった。太一、降ろしてくれて構わないよ』
そう言うが、太一はいっこうに降ろそうとしない。
しかもさっきから様子が変だ。
『…太一？』
「俺、まだ許してないからな」
『…そうだね。それでいいよ』
「あと、降ろさないから。お前、何回も倒れてるし」
『……恥ずかしんだけどな』
辺りは暗いから目立つってことはないけど……
こうやって、運ばれるのはちょっとくすぐったい気持ちになる。
『私……小さい頃からこうやって背負われたことないんだよね。私が産まれてからすぐに父親は交通事故で他界。母はすごく頑張って私を育ててくれたんだと思う』
ポツリポツリと話さなくてもいいようなことを勝手に口が喋る。
シーンとした中、コツコツと靴音だけが聞こえ、目を閉じた。
『…でもね、外に出ると…私が知らないような家族があった。みんな肩車とかおんぶされてたりとか……羨ましいって気持ちが何処となくあって、でも私がそんな我儘を言えるはずもなくて……』
「「……」」
『だからね！……背負われるの嫌じゃないよ。恥ずかしいけどね』
「よし、走る。捕まっとけ」
『え、ちょ……太一！？』
ブワッと風が頬を撫でる。
足を踏み込むたびにガクッと揺れ正直言って乗り心地最悪。
でも––––
ホッとする。
人と触れ合っている体温となんとなく包まれてる雰囲気。
『こういうのも悪くないね白布くん』
「だろ？」
『ん。…ほんと、ありがとうね。私………決めたよ』
「なにを？」
『太一、降ろして。ここまででいい』
そう言うと、渋々降ろしてくれる太一。
その様子を白布くんは不思議そうにして見る。
『本当にありがとう。二人には感謝してる。でも、この件については立ち入らないでほしい。別に二人が力不足とかじゃない、私が決めたことだから』
言うことだけ言って、走り出す。
彼らなら大丈夫。
きっと、私を助けてくれる。
それがたとえ今じゃなくても。
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4す。 - お…おわり？！ (2022年5月10日 1時) (
レス) @page13 id: 1c7bf85d9b (このIDを非表示/違反報告)
おっふ - 神。こういうお話好きなんです、、、。その中でもわかりやすくてよかったでっす！！ (2020年1月1日 21時) (レス) id: f0059e6ce4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - くろすけさん» ありがとうございますm(__)mそう言ってもらえると本当に嬉しいです！！更新は遅めですがよろしくお願いします！！ (2017年10月9日 19時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ - 二文字で言うと、最高！ 凄い作者さんですね！更新頑張ってくださいね!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: 8a73dacc7d (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - いちごみるく☆さん» 感想ありがとうございます。これから、少しづつ更新していくのでよろしくお願いしますm(__)mずっと、更新していませんでしたが、これからしていく予定です (2017年8月15日 0時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年3月19日 17時
