引き分け ページ11
木村 春side
昔から、人が苦手だった。
表は笑っているのに、裏では嗤っているように思えたから信用なんてできなかった。
けど、心は正直でいつも叫んでいた。
私を––––見て、そして認めて。
これは、私の悲劇のストーリーだ。
「ねぇねぇ、おかーさん！これ、見て！！」
「はいはい。そんなことより、お勉強は終わったの？お姉ちゃんがあなたの時くらいはいつも丸ばかりの回答用紙だったわよ？」
「………ごめん、なさい」
手にしていた、花の絵を握りしめて下を向く。
この時から、気づいていたのかもしれない。私が、望まれていない子だったということを。
姉との差は明らかで、カリスマもありいつも中心人物であった姉。それに比べ、私にはなにもない凡人以下だった。
姉は、運動能力もよかった。そして、勉強の方も。
一言で言って仕舞えば、彼女は天才だった。
そして私はひたすら天才の姉についていこうと勉強だけは頑張った。
そんな中で、姉より先にピアノを習い始めた。
一つでも、姉より得意なことを見つけたかった。
自慢したかったのだろう。母親に、自分はやれば出来る子だと。
それでも………
「すごいわ！さすが、自慢の娘ね」
途中からピアノを始めた姉に負けてしまった。
私なんて、誰の目にも止まることはない。それに、誰も見ようともしてくれていない。
その事実を受け止めた。
姉は天才で私は恵まれなかった哀れな子。
その瞬間から、私に家族はいないのだと知った。
この時からただ血が繋がっているだけの赤の他人だと考えた。
それでも
姉は決して、私のことを見下すような人ではなかった。
私が母に閉じ込められた時でも、こっそりと食べ物なんかを置いてくれた。
家族から存在を消された私には、ちゃんと姉がいた。
しかし、それは。
私の心を醜く堕としていくだけだった。
姉も、心の中では嗤っているのではないか。こんな自分を馬鹿にしているのではないか。
私に、人を信じろというのが無理な話だ。
それでも、生きるためには仮面が必要だった。いつからか、本性を隠して仮面だけで生活をすることに慣れてしまった。
そんな中、唯一楽しめることがあった。
バレーを見ることだ。これだけは、心の中がスカッとして良い気持ちになれる。
あぁ、本当に。
馬鹿だな、自分は。
あの時、彼女を見つけなければ仮面を取る必要がなかったのに。
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4す。 - お…おわり？！ (2022年5月10日 1時) (
レス) @page13 id: 1c7bf85d9b (このIDを非表示/違反報告)
おっふ - 神。こういうお話好きなんです、、、。その中でもわかりやすくてよかったでっす！！ (2020年1月1日 21時) (レス) id: f0059e6ce4 (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - くろすけさん» ありがとうございますm(__)mそう言ってもらえると本当に嬉しいです！！更新は遅めですがよろしくお願いします！！ (2017年10月9日 19時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ - 二文字で言うと、最高！ 凄い作者さんですね！更新頑張ってくださいね!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: 8a73dacc7d (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - いちごみるく☆さん» 感想ありがとうございます。これから、少しづつ更新していくのでよろしくお願いしますm(__)mずっと、更新していませんでしたが、これからしていく予定です (2017年8月15日 0時) (レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おつきみ | 作成日時：2017年3月19日 17時
