取引 ページ4
「取引だァ？」
「っああ、」
「…ケッ、内容によっちゃ殺す」
ほ、と胸を撫で下ろす。
どうやら聞いてくれるようだ。
が、ここからグリムジョーを説得しなければならない。ここが１番の山場だ。
「グリムジョーは、俺が弱いから怒ってるってことだよな？」
「そうだ」
「だから、俺のこと鍛えてくれよ」
「あ"？」
ギュ、と眉間の皺がさらに深くなる。
答えマズったか…！？
いや、引くな、ここで引いたら交渉にならない。コイツを頷かせるところまで持っていくんだ
「どういうつもりだ」
「別に、他意はない。お前の力、俺が使いこなしてやるって言ってんだよ」
…弱いか！？
一応まだこの体の主人は俺だから大丈夫なはず…
まだ足りない、あと、あとなにを…
そうだ、
「次、
だが、俺はそう易々とお前にくれてやるつもりはない。だから、この生得領域内で鍛えてくれ。
強くしてくれよ、俺を」
「っく、ハハハハハハ！
なにを言い出すかと思えば俺はお前に体を渡したくないから強くしてくれって！？ ハハハハハ！！！
そんな、お前にチャンスをやるようなことを俺がすると思ってんのか！」
「…じゃあ」
「ダメだ」
「っ、」
「と、言いたいところだが、お前に簡単に死なれたら俺も困る。
加えて、今のは最高に笑えたしなァ！」
！！！
じゃあ、ほんとに…！
「イイぜ。その取引、飲んだ」
「おっ、し！！！」
「ただし、条件がある。
俺の心臓とお前の心臓を取り替える」
「え… は、？」
「お前はいつでも俺が殺せるってことを肝に銘じておけ。そして、お前が死んだら俺もろとも消えるということもなァ」
「…わかった」
「じゃあ、いくぞ」と言って俺の胸に躊躇なく腕を突き刺すグリムジョー。
ゴポッ、と口からも傷口からも血が溢れ出る。
正直このまま殺されてしまうのでは、とも思ったが、自分の心臓までも躊躇うことなく取り出し、俺の胸へ納めた。
「これで、互いに逃げらんねぇなァ？」
「お前も大概俺のこと好きだよね」
「さっさと死ね」
その言葉を最後に俺の頭と体は離れ、目の前が暗転した。
なんだよ、ちょっとからかっただけじゃないか…
俺は、俺の自由のために。
俺たちの自由のために。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 435人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜桜(プロフ) - 面白いです。頑張ってください グリムジョーが、カッコイイです。 (2021年2月20日 17時) (
レス) id: 61068c4ac1 (このIDを非表示/違反報告)
むーちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます！凄くいい展開で楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年1月16日 10時) (レス) id: 61a580f902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宮 | 作成日時：2021年1月15日 16時
