一色、本家 ページ28
「もうお見えになりますよ」
「ありがとうございます」
運転席からだいぶ離れた後部座席に座る俺たちに話しかける松前。
にこ、と微笑んで返し、目先にある家を睨む。
「ちょっとちょっと、これがアンタの家!?」
「ええ」
「すっげぇ…」
釘崎に肩を掴まれぐわんぐわん揺さぶられる。…ちょ、出る、うっ、
伏黒も驚いてないで止めてくれよ…
五条さんでもいい。あぁ、五条さんも家このくらいだもんな…
どうぞ、と言われ車の扉が開かれる。
早く降りろお前ら。
「ありがとうございます、お疲れ様でした」
「いえいえ、お迎えに上がるのが私めの務めですので」
再び微笑んで言う。
…はぁ、いつまでこんなことするんだよ。
早く行け。息子帰ってきたって言ってこいよ。
「では、私は先に行って旦那様にお伝えして参ります。代わりの者が正面の門におりますので、申し訳ございませんがそちらにお願いします」
「こちらこそ」
そう言うとパタパタと忙しなく走っていき、だんだんと足音が小さくなっていった。
さて、ここから正門までは5分くらいか。
「じゃあ、行きますよ」
「あら、もういいの?ニコニコしてなくて」
「ぶふっ」
「お黙り」
「あぁ"ん!!?」
「ほらほら、喧嘩してないで行くよ?僕鹿見にいきたーい!」
「あ、ちょ、私もいきたい!あら、ごめんあそばせ一色。っふふ、」
ナイス五条さん。
なんだごめんあそばせって… 潰すぞ釘崎。伏黒も笑ってんじゃねぇ…
はぁ…
着いてこい、と言い正門まで向かう。物珍しいようで伏黒と釘崎はキョロキョロとしている。
んー… 土地と歴史だけは無駄にあるからな…
わちゃわちゃと話をしながら歩いて行くと大きく構える門が見えた。
威圧感よ。
「まさか、アレが門じゃないわよね…?」
「アレですが」
「はぁっ?でかっ!?でかい!!お城の門なの!?どう開くのコレ!!」
「あそこの門の前にいる者が開けます」
あそこ、と指を刺すところには先程の松前と同様和装の男が立っていた。違うのは顔に少しシワが見えるところだろうか。
男はこちらに気づき、深く一礼する。
「お前、本当に一色の令嬢だったんだな」
「え、信じてなかったの???」
「なんか、豪邸が想像できて吐きそう…」
「野薔薇たち、こんなんで驚いてたら多分この後持たないよ?」
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夜桜(プロフ) - 面白いです。頑張ってください グリムジョーが、カッコイイです。 (2021年2月20日 17時) (レス) id: 61068c4ac1 (このIDを非表示/違反報告)
むーちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます!凄くいい展開で楽しみです!更新頑張ってください!! (2021年1月16日 10時) (レス) id: 61a580f902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2021年1月15日 16時