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カナエはそう告げた後、黒羽の顔を覗き込み



『紫は今、櫛を貰いたい相手…いたりするのかしら?』



『(貰いたい…相手…。)』



黒羽はカナエの言葉を繰り返し、櫛を眺めながら考え込んだ様子でいると



『__あ、紫!』



聞き馴染みのある声に、思わず肩がビクりと跳ね



『ま…匡近、…』



声色にも若干戸惑いが出てしまうものの、粂野はそんな黒羽の様子に気づく事なく



『胡蝶さんとお出掛けか?相変わらず仲良いな〜』



黒羽と視線を合わせるようにして屈み、朗らかな笑顔を向ける。



『粂野くんは…任務帰りかしら?…今日は不死川くんと一緒じゃないのね。』



カナエがそう声をかけると、粂野は『はい』と返事をした後



『実弥は今、別の任務に行ってるんですけど……アイツ、皆と上手くやれてるか…心配なんですよね…。』



『長期の任務だって聞いたので…、その間に少しでも皆と打ち解けられたらいいんですけど…』



少し頭を悩ませながら、カナエの言葉に対してそう返す。



カナエはそんな粂野を目にし、柔らかく微笑んだ後



『粂野くんは…不死川くんの事、大好きなのね。』



『不死川くんもきっと、粂野くんの事大好きだと思うわ。不死川くんは…粂野くんといる時が一番楽しそうだもの。』



そう告げたかと思えば、黒羽の方へと視線を向けて



『…紫もそう思___』



同意を求めるものの、黒羽は短く舌打ちをした後



『知りません』



そっぽを向いて、はっきりとした口調でそう告げる。



『紫…!舌打ちしちゃダメって、あれ程言ってるでしょう…!女の子なんだから……ね、?』



『…でも、しのぶさんはたまにしてます。この前も診察中にしてるの見ました。』



『……』



黒羽のその返しに、カナエが思わず溜息をつく中



『まぁまぁ…胡蝶さん、』



粂野は苦笑を浮かべながら声をかけた後、先程黒羽が眺めていた櫛へと目を向ける。



『…紫、もしかしてこれ欲しいのか?それなら、俺が買___』



そう告げるものの、黒羽は粂野の言葉を遮るようにして



『 要らない 』



『匡近が…あげたいと思う人の為に取っておいて。』



先程のカナエの話を受け、真っ直ぐな視線を向けながらそう告げる。



『?』



粂野が不思議そうな表情を浮かべる中、カナエは事情を説明し



『へぇ…そうなんですね、じゃあ…紫の為にも買わない方がいいのか…。』



『貰うなら…俺じゃなくて、本当に好きな相手から貰いたいよな。』

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作者名: | 作成日時:2023年9月18日 10時

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